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12月, 2024の投稿を表示しています

お義父さんやめてください。「むせび泣く嫁」

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を柔らかく照らしていた。キッチンからは夫がコーヒーを淹れる音が聞こえてくる。私も一日の始まりに向けて、洗面所で顔を洗おうと足を運んだ。鏡の前には、昨日夜に使ったばかりの私の歯ブラシが立てかけられている。けれど、何かが違う。 「あれ? なんか毛先が広がってる?」 そう呟きながら手に取った瞬間、私は息を呑んだ。毛先には微かに湿り気が残り、使った形跡が明らかだった。 「また……なの?」 胸がぎゅっと締め付けられるような感覚に襲われた。義父さん、お願いだからやめてください。私の歯ブラシを使うのは。 リビングに戻ると、義父が朝食のテーブルに座って新聞を広げていた。何事もなかったかのような穏やかな表情だ。その姿を見て、どう切り出せばいいのか迷ってしまう。 「お義父さん、あの……」 言葉が詰まる。何度も注意したけど、どうしても直らない。わざとなのか、ただの勘違いなのか、それすら確かめるのが怖い。 「ん? なんだい?」 義父さんは私に目を向けた。その瞳には悪びれる様子など一切ない。むしろ、私が何かを責めるのは間違いなんじゃないかと錯覚しそうなほど、穏やかだった。 「いや、なんでもないです。」 結局、いつものように言い出せなかった。台所に戻り、夫が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、自分の小ささに嫌気がさした。 その日の夕方、義母がふと話しかけてきた。 「最近、あの人、物忘れがひどくてね。」 「え、そうなんですか?」 「この前なんか、自分の歯ブラシをどこに置いたか忘れちゃってね。探すのが面倒だったのか、適当に目に入った歯ブラシを使ったみたいで……」 その一言で、私はすべてを理解した。義父さんは悪気があってやっているわけではない。けれど、それで納得できるわけでもない。 その夜、夫と二人で話し合った。 「ねえ、あなた。義父さんのことなんだけど……」 「また歯ブラシの件?」 「そう。やっぱり衛生的に良くないし、どうにかしないと。」 夫は困ったように頭をかきながら答えた。 「わかった。父さんにちゃんと話すよ。でも、少しずつでいいか?」 「うん。それでいい。」 私はそれ以上は何も言わなかった。少しでも前に進めば、それでいい。 翌朝、私は新しい歯ブラシを買ってきた。それを洗面所の引き出しに隠し、代わりに義父さんが間違えてもいいような古い歯ブラシを目立つ場所に...

お母さん、僕もう我慢できない。「義理の息子は私のことが好きなの。」

第一章:始まりの夜 私は今、夜の静けさの中で一人、ソファに座っている。外の空気は冷たく、窓から差し込む月明かりが部屋の隅々を柔らかく照らしている。手には温かいお茶を持ち、ゆっくりと飲みながら、心の中で静かに思いを巡らせていた。 「お義母さん、ちょっといい?」 義理の息子、智也の声が聞こえたのは、もうだいぶ遅い時間だった。予想していた通り、彼が私に何かを相談しに来たのだろう。少し驚いたが、私はすぐに答えた。 「どうしたの、智也?」 ドアが開いて、智也が静かに部屋に入ってきた。普段はあまり目立たない彼だが、今日は少し様子が違う。顔には何かを抱え込んだような、複雑な表情が浮かんでいた。 「お母さん、話があるんだ。」 私はゆっくりとお茶をテーブルに置き、彼を見つめた。 「何かあったの?」 智也はしばらく黙って立っていたが、やがて重い口を開いた。 「実は…お母さんのことが、僕、好きなんだ。」 その言葉が私の胸に深く突き刺さった。驚きと困惑が入り混じった感情が湧き上がり、しばらく言葉が出なかった。智也の顔を見つめるうちに、私は自分の心がどう反応すべきなのか分からなくなっていた。 「それ、冗談じゃないの?」 私の声はどこかぎこちなく、震えていた。智也はゆっくりと首を横に振り、真剣な眼差しで私を見つめた。 「冗談じゃない。本当に、ずっと前からそう思ってた。」 私はその場に座ったまま、深呼吸をした。こんなこと、どう受け止めたらいいのだろう。義理の息子が、私を――。 「お母さん、どう思ってる?」 智也の問いかけに、私は答えられずにただ黙っていた。頭の中では、私の中で何かが崩れ始めているような気がした。義理の息子が私に好意を抱くなんて、どう考えてもおかしい。でも、彼の目に宿る真剣さに、私はどうしても無視できなかった。 「智也、そんなこと言ったら、何かが壊れてしまうかもしれないよ。」 私はようやく声を出したが、その声には不安が隠せなかった。もしこの気持ちに応えてしまったら、家族としての関係はどうなってしまうのだろうか。今の関係が壊れてしまう恐怖が、胸を締め付けていた。 智也は少し考え込んだようだったが、やがて静かに言った。 「でも、お母さんにはそのままでいて欲しいんだ。僕はお母さんと一緒に過ごしたい。」 私はその言葉を胸に受け止め、しばらく黙ったままでいた。彼の想いに答えられないことが、ど...

娘には内緒です。「義理の息子に膝枕してあげました。」

「あのね、こんな話、誰にも言えないんだけど…ちょっと聞いてくれる?」 昼下がりのリビング。カーテン越しに射し込む柔らかな日差しが、私の膝の上で眠る義理の息子、翔太の顔を照らしていた。娘の彩香が結婚してまだ一年。慣れない結婚生活に追われながらも、夫婦仲は良好だと言っていたけれど、翔太は最近、彩香には言えない仕事の悩みを私に相談するようになった。 「義母さんには何でも話せそうで…」と彼が言った時、正直少し誇らしかった。親子ほど年が離れているのに、彼は私を信頼してくれている。そう思うと、母親のような気持ちが湧いてきた。でも、どこかでそれだけじゃない感情も混じっている気がして…自分でも戸惑っているの。 「大丈夫だよ、翔太君。そんなに気を張らなくても、ちゃんと頑張ってるじゃない。」 「でも、彩香には言えないんです。弱音を吐いたら、がっかりされそうで…。」 彼がそう言って俯いた時、無意識に手を伸ばして彼の髪を撫でていたの。まるで、幼い頃の彩香を慰める時のように。 「疲れてるなら、少し休みなさい。ここでいいから。」 膝を軽く叩いて促すと、彼は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに私の膝に頭を乗せた。あの瞬間、心臓が少し早くなったのを覚えている。 翔太が穏やかな寝息を立て始めると、私は彼の髪に触れる自分の手が止められなくなっていた。ふわりとした髪の感触が指先に伝わるたび、胸の奥がざわつく。この感覚は、どう説明したらいいのかしら? 「あの時、なんで膝を貸しちゃったんだろう…」 独り言のように呟いてみても、答えは出ない。たぶん、彼があまりにも疲れた顔をしていたからだと思う。でも、彩香に知られたら、きっと怒られる。嫉妬されるかもしれない。 「もし彩香が知ったら、『お母さん、何してるの』って言われるわよね。」 そんなことを考えると、罪悪感が胸に広がる。でも、不思議と後悔はしていないの。 彼が目を覚ましたのは、それからほんの数分後だった。 「あ、すみません…義母さん、寝ちゃってました。」 「いいのよ。ちょっとは楽になった?」 「はい。…ありがとうございます、本当に。」 彼の目がまっすぐ私を見ていた。その視線に、私は少しだけ息を呑んだ。こんなに真剣な目を向けられるのは久しぶりかもしれない。 「また辛くなったら、いつでも来なさい。私はいつでもここにいるから。」 そう言った自分の声が、どこかで震えていた...