あのね、聞いてくださる？最近、ちょっと困ってるのよ。義理のお父さまがね、なんだか私にちょっかいを出してくるの。
最初は軽い冗談だと思ってたのよ。「お嫁さん、今日もきれいだねぇ」とか、「そんなに頑張って、旦那に惚れ直させるつもりかい？」とかね。まぁ、最初は笑って受け流してたんだけど、だんだんそれがエスカレートしてきたのよね。
例えば、この間なんて、台所で夕飯を作ってたら、後ろから急に肩に手を置かれてびっくりしちゃったの。「そんなに力を入れて、包丁がかわいそうだわ」なんて言いながらね。そんな風に言われると、なんだか妙に意識しちゃうじゃない？
それに、義父さまったら、妙に褒め上手なのよ。「お嫁さんの笑顔を見ると、疲れが吹っ飛ぶねぇ」とか、「そのエプロン姿がまるでドラマのヒロインみたいだわ」とか。そんなことを言われると、なんだか心がくすぐられるようで…いやだわ、私ったら。
でもね、これって、いけないことだって分かってるの。旦那さまのお父さまなんですもの。家族よね。私が変な気持ちになるのはおかしいのよ。だけど、心のどこかで、「もっと言ってほしい」なんて思ってる自分がいるのが、もう情けなくて。
一番困ったのは、この間のお買い物の帰り道。義父さまが荷物を持ってくれてたの。そのときね、「お嫁さんと二人で歩くと、新婚旅行みたいだわ」なんておっしゃるのよ。私、思わず「そんなこと言わないでください！」って笑いながら言っちゃったけど、胸がドキドキしちゃって。だめよね、こんなの。
旦那さまには言えないわ、こんなこと。だって、ただの冗談よね？義父さまに悪気なんてないのよ、きっと。でも、私の中で、このドキドキが消えないのが困りものなの。私、どうしたらいいのかしら。
ねぇ、これって、私が悪いの？それとも、ただの義父さまの愛嬌に振り回されてるだけなのかしら。もう少し心を強く持たなきゃだめよね。
それから数日後のことよ。また義父さまと二人きりになる瞬間があったの。旦那さまが夜勤で家を空けててね、その日は義父さまが「一緒に晩酌でもどうだい？」って誘ってくれたの。最初は断ろうかと思ったけど、あまりに楽しそうな顔をされるものだから、つい「少しだけなら…」って答えちゃったの。
リビングのソファで並んで座ってね、義父さまとお話してたの。昔の話や旦那さまの子供時代のこと、いろいろ聞いてるうちに、なんだか和やかな雰囲気になっちゃって。お酒も少し進んで、私もつい笑いすぎてしまったの。
そしたらね、義父さまが急に真面目な顔をして、「お嫁さん、旦那がどれだけ幸せ者か分かってるかい？」なんて言い出したの。「こんなに素敵なお嫁さんがいて、俺なら自慢して歩くわ」なんて。もう、恥ずかしいったらないわ。
でもね、そのあとがいけなかったの。「もし俺があと20歳若かったら、絶対に諦めなかったな」なんて言われて、私、本当に言葉に詰まっちゃったのよ。そんなこと言わないでって思う反面、心の奥が熱くなってるのが分かって…いやだわ、私ったら。
その晩、部屋に戻ったあとも眠れなくてね。義父さまの言葉が頭の中で何度も繰り返されるの。どうしていいか分からないのよ。でも、これ以上こんな気持ちを抱えたままじゃいけないって、心のどこかで思ってるの。私、どうしたらいいのかしら。
次の日、朝食を作っているとき、義父さまの視線を感じたのよ。何気なく振り返ったら、義父さまがにっこり笑って「おはよう。お嫁さんが台所に立ってると家が明るくなるな」なんて言うの。私、思わず「お義父さまったら、お上手なんだから」って笑って返したけど、内心ドキドキしてたの。
それだけじゃないのよ。その日のお昼過ぎ、洗濯物を干しているときに庭にいらした義父さまが近寄ってきて、「よく働くなぁ。こういうところが本当に魅力的だよ」と、なんだか感慨深そうに言うの。その声が妙に優しくて、私、もう胸がいっぱいになりそうだったの。
午後には、一緒に買い物に出かけることになったの。旦那さまが忙しいから、代わりに付き合うって言ってくださってね。車の中で、昔の話をたくさん聞かせてくれたわ。若い頃の恋愛の話とか、失敗談とか。義父さまが笑いながら話すのを聞いてると、なんだか私もその時代に戻ったような気がしてしまったの。
帰り道、夕焼けが綺麗で、二人とも少し黙ってしまったの。そのとき義父さまがぽつりと「お嫁さんみたいな人が俺の人生にいたら、もっと違ったのかな」なんて呟いたのよ。その言葉が、胸に深く刺さってしまって…返事ができなかったの。車の窓の外を見ながら、ただその言葉を噛みしめてたの。
ねぇ、私、どうすればいいのかしら。旦那さまのことが好きよ、大事よ。でも、義父さまの存在が心の中でどんどん大きくなっていくのが止められないの。こんな気持ち、抱えたままでいいのかしら。それとも、どこかで線を引かなきゃだめなのかしら。
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