ねえ……お願いだから、笑わないで聞いて。
こんな歳になって、恋だなんて――私、自分でも信じられないのよ。でもね、女って、いくつになっても……ふとした瞬間に、火が点いてしまうものなのね。
私、今年で52歳。結婚してもう……27年目になるかしら。夫はまじめで、浮気ひとつせず、家のこともよくしてくれる。でも、それなのに――私は、他の人を、好きになってしまったの。
出会いは、ジムだったの。夫に勧められて通い始めたジムで、彼とたまたまマシンの順番を譲り合ったのがきっかけだったわ。10歳以上年下の彼。私なんか、ただのおばさんでしかないって、最初は思ってたのよ。
でも……彼、目を見て話す人だったの。真剣に、優しく、どこか懐かしいような眼差しで。
その視線に、私は……気づいたら、心が溶けてた。
週に2回、トレーニングを一緒にして、少しずつ距離が近づいて――気づいたら、LINEで他愛ない話をするようになってたの。夫にはもちろん、内緒よ。だって、言えるわけないじゃない……「私、恋してるの」なんて。
最初は、ただ話してるだけで良かったの。恋なんて、幻想の中だけでいいって。でもね、彼の手が、私の腰にそっと触れたとき――その優しさに、私の理性が、音を立てて崩れたの。
「○○さんって……すごく、きれいですよ」
あの一言が、ずっと耳に残ってる。
今の私のどこが“きれい”なの? シミもシワも、年相応についてきてるのに。でも……その言葉を信じたくなったの。久しぶりに「女」でいられる気がしたの。
ホテルの一室で、私は彼に抱かれた。
ゆっくりと、優しく、でも情熱的に――肌に触れるたびに、自分が女であることを思い出させてくれたの。夫との行為ではもう思い出せなかった“震え”が、体の奥からこみあげてきて……何度も、声を漏らしてしまった。
私は……罪を犯してる。でも、罪悪感と同じくらい、それ以上に、満たされてしまったの。
ああ、こういうのを「背徳の快感」っていうのかしら。
彼と別れたあと、鏡に映る自分を見て思ったのよ――
「ああ、私、まだ女だったんだ」って。
夫には申し訳ないと思ってる。だけど、私はもう戻れない。あの夜の感触が、まだこの体の中に残ってる。女として“生きている”って、初めて気づいた気がするの。
ねえ……あなたはどう思う?
こういう“秘密”って、許されないことなの?
でも、私は言いたかったの。誰かに、聞いてほしかったのよ。
女って、何歳になっても、恋をしたい生きものなの。
触れられて、愛されて、求められて――
ただそれだけで、生き返ることがあるのよ。
この気持ちが、もしあなたにも届いたなら……少しだけでいい。
私を、責めないで。
お願い――これは、誰にも言えない私の“秘密の恋”だから。
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