あの夜、私は再び彼と会うことを期待していなかった。PTAの保護者会で初めて顔を合わせたとき、彼の穏やかな笑顔と優しい眼差しに、私はどこか心が揺れた。しかし、私は家庭を持つ身であり、そんな感情は心の奥底にしまい込むべきだと思っていた。
懇親会の夜、私はいつもより少し気合を入れてドレスアップしていた。心のどこかで彼に再会することを期待していたのかもしれない。会場に入ると、すぐに彼の姿が目に入った。彼も私に気づいたようで、軽く手を振って微笑んだ。その瞬間、心臓が高鳴り、緊張が一気に押し寄せてきた。
彼の名前は田中さん。穏やかで話しやすい彼とは、保護者会の時にも短い会話を交わしただけだったが、その時の印象が強く残っていた。今夜も彼の優しい眼差しに引き寄せられるように、私は自然と彼の方へ歩み寄っていった。
「こんばんは、田中さん」と声をかけると、彼も微笑みながら「こんばんは。お会いできて嬉しいです」と答えた。その言葉に、私の心はさらに高鳴った。会話はすぐに弾み、まるで昔からの友人のように感じられた。
会場の隅で静かに話し始めると、彼の視線が私に向けられるたびに、緊張と興奮が入り混じった感情が胸の中に広がった。彼の声のトーンや、微笑む仕草に惹かれながらも、私は家庭を持つ身としての葛藤に苛まれていた。こんな気持ちを抱くべきではないと頭ではわかっているのに、心はどんどん彼に引き寄せられていった。
彼がふと、私の手に触れた瞬間、その温もりが一気に私の体を貫いた。「少し外に出ませんか?」と彼が提案したとき、私は一瞬戸惑ったが、すぐに頷いていた。会場を抜け出し、夜の涼しい風に当たりながら二人で歩き出した。
夜空の下、彼と並んで歩くと、心の中の葛藤は次第に薄れ、彼と過ごすこの瞬間が特別なものに感じられた。彼の横顔を見つめながら、私は自分の中で芽生える新たな感情に気づかずにはいられなかった。
「あなたといると、心が落ち着くんです」と、私は思わず口に出していた。彼は驚いたように私を見つめ、そして優しく微笑んだ。「僕も同じです」と彼の言葉に、私の心は温かさで満たされた。
彼が立ち止まり、私の手を取って向き直った瞬間、胸の鼓動が早くなるのを感じた。彼の瞳が私をじっと見つめ、そのまま静かに近づいてきたとき、私の中で押さえ込んでいた欲望が一気に解き放たれた。
「この瞬間を大切にしたい」と彼が囁いたとき、私は彼の腕の中に飛び込んでいた。その夜、彼と過ごした時間は、私にとって忘れられないものとなった。心の緊張や葛藤が解け、興奮と欲望が交錯する中で、私は新たな自分を見つけたのだった。
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