同居して一年が経つが、俺は今でも時折、義母の若々しさに驚かされる。
五十代とは思えないほど艶やかで張りのある肌。
スキンケアに余念がない義母の美しさは、まるで年齢を感じさせない。
「お風呂、いただくわね」
リビングでくつろいでいた俺の横を通り過ぎる義母の香りがふわりと鼻をかすめる。
彼女の細い首筋から肩にかけてのなめらかなラインが、何気なく視界に入った。
それは、思いのほか女らしさを感じさせるものだった。
俺は慌てて視線を外し、テレビの画面に意識を向けた。
……なのに、その夜。
俺は、見てしまった。
浴室の扉が少しだけ開いていたのだ。
ふと通りかかった時、そこから漏れる湯気と共に、柔らかな肌がちらりと目に入った。
俺は息をのむ。
義母は湯上がりの肌をタオルで軽く押さえ、肩をゆっくりと撫でていた。
うっすらと水滴が光る鎖骨。
タオルの隙間から覗く、白く、艶やかな肌。
――しまった。
見てはいけない。
そう思ったのに、足が動かない。
心臓が高鳴る。
すぐに目を逸らすべきだった。
だが、まるで何かに囚われたように、俺は動けなかった。
「……あら?」
義母の視線とぶつかった。
その瞬間、俺は弾かれたように踵を返し、寝室へと駆け込んだ。
ベッドに飛び込み、荒い息を必死に抑える。
――見られた? いや、気のせいか?
冷静になれ。
そう自分に言い聞かせても、頭の中はさっきの光景でいっぱいだった。
義母の、肌。
柔らかく、なめらかで、女性らしい曲線を持った肌。
俺は気づいてしまった。
義母を「女性」として意識し始めている自分に。
そして、気づいた以上――もう、戻れないことにも。
翌朝、俺は義母の顔をまともに見ることができなかった。
視線を合わせたら、昨夜の光景がありありと蘇ってしまう。
湯気に包まれた彼女の肌、鎖骨の艶めき、濡れた髪が頬に張りつく色っぽさ。
それが俺の記憶に、鮮明に焼き付いている。
「おはよう、よく眠れた?」
義母の柔らかな声が耳に届く。
俺はギクリとし、手元のコーヒーカップに意識を集中させた。
「……ええ、まあ」
そう答えるのが精一杯だった。
義母はいつも通りだった。
いつもと変わらない穏やかな表情で、丁寧に朝食を並べている。
けれど、俺の中では何かが決定的に変わってしまった。
気づかれたのだろうか。
俺があの夜、彼女を覗いていたことに。
――いや、気づかれていない。
そう信じたい。
けれど、義母の指先が俺のカップに触れた瞬間、わずかに俺の心臓が跳ねた。
「熱いから気をつけてね」
そんな些細な気遣いにさえ、過敏に反応してしまう自分がいた。
俺はゆっくりと顔を上げ、義母を見た。
やわらかな微笑み。
包み込むような優しさ。
――だけど、その奥に。
俺の目が何かを捉えた気がした。
まるで、俺の動揺を見透かしているかのような……そんな、表情を。
その時、義母はゆっくりと髪をかき上げた。
白い首筋が、ふわりと露わになる。
昨夜と同じ。
濡れてはいないけれど、確かに俺が目を奪われた、あの肌。
俺の喉が、自然と鳴った。
「……義母さん」
思わず声が漏れそうになった時。
「そろそろ起こさなきゃね、あなたの奥さん」
義母の声が、すべてを断ち切るように響いた。
俺の心臓が、強く打つ。
妻の名前を聞いた瞬間、現実が冷たい水のように降りかかる。
俺は、何を考えているんだ。
義母を、義母としてしか見てはいけないのに。
――でも。
義母は最後に、ほんの少しだけ笑った。
それが、俺の罪悪感を、さらに深く刻みつけるように思えた。
妻の名前を聞いた瞬間、胸の奥に鈍い痛みが走った。
「……そうですね」
俺はかろうじてそう答え、椅子を引いた。
義母の前に座っていると、理性が削られていく気がする。
冷静になれ。
ここで何かを間違えれば、全てが壊れる。
けれど、義母の表情には、どこか意味ありげなものがあった。
まるで、俺の戸惑いを楽しんでいるかのような……そんな、挑発的な色を滲ませた笑み。
気のせいだろうか。
――いや、違う。
義母は確かに、俺の揺らぎを感じ取っている。
そして、それを受け入れている。
朝食を終えたあと、俺はすぐにリビングを離れた。
このままでは、正気を保てそうにない。
だけど、俺は知らなかった。
その日を境に、義母が俺を試すような仕草をするようになることを。
例えば、俺が家にいる時間を見計らって、髪をまとめる仕草を目の前で見せたり。
例えば、ふとした瞬間に肩口の肌を晒し、何気ない顔で俺に背を向けたり。
それは決して露骨ではなく、あくまで自然な仕草だった。
――だからこそ、余計に俺は心をかき乱される。
俺の中で何かが膨れ上がっていくのを感じる。
その気持ちに気づかないふりをして過ごしていたけれど、ある夜、決定的な出来事が起こった。
妻が実家に帰省した夜。
寝苦しい夜だった。
窓を開けても、生ぬるい風しか入ってこない。
俺はリビングで冷えた水を飲んでいた。
そのとき、浴室のドアが開く音がした。
――振り向くべきではなかった。
でも、俺の意志とは関係なく、視線はそちらへ向かっていた。
そこにいたのは、濡れた浴衣姿の義母だった。
「……あら、ごめんなさい」
そう言いながら、義母はバスタオルで濡れた髪を拭っていた。
浴衣の襟元が少しはだけ、鎖骨のラインが月明かりに照らされている。
肌がほんのりと上気し、湯上がりの匂いが微かに漂ってきた。
俺は喉が渇いたような感覚に襲われた。
さっき飲んだばかりの水なのに、全く足りない。
「……暑い夜ね」
義母が、少し微笑む。
俺は返事をしようとした。
でも、言葉が出てこなかった。
なぜなら、その瞬間、義母の指が浴衣の襟元にかかるのが見えたから。
「あなたも、まだ寝ないの?」
いつものように微笑む義母の瞳の奥には、僅かに揺れる何かがあった。
それは、俺が今まで見たことのない表情だった。
――この一線を越えたら、もう戻れない。
それでも、俺はもう引き返せなかった。
浴衣の襟元にかけられた義母の指先に、俺の視線は釘付けになっていた。
ごく自然な仕草のようでいて、どこか計算されたものに思えてしまう。
試されているのか?
胸の奥がざわつく。
俺の動揺を察しているのか、義母はゆっくりと浴衣の襟を整え直した。
しかし、その動きがむしろ俺の目を引き寄せる。
「……まだ、寝られなくて」
何とか答えを絞り出す。
義母はそんな俺を見つめたまま、少し笑った。
「ふふっ。男の人って、夜になると考えすぎてしまうものなのね」
軽く冗談めかした言葉。
けれど、その瞳の奥には別の意味が宿っているように感じた。
こんな時間に、こんな姿で俺の前に現れる理由を考えるな。
余計なことを考えなければ、何も起こらない。
そう思おうとした矢先、義母がふと小さくため息をついた。
「暑いわね……」
そう言いながら、義母はうなじに手を当て、そっと髪をかき上げた。
月明かりに照らされた首筋のライン。
湯上がりの滑らかな肌が、俺の目の前で露わになる。
―― 理性が試される音がした。
俺は拳を握りしめた。
考えるな。冷静になれ。これは義母だ。妻の母親だ。
だが、その理性が、義母の次の一言で音を立てて崩れそうになる。
「……少し、お酒でも飲まない?」
それは、拒める誘いではなかった。
深夜のリビング。
小さなグラスに注がれた冷えた酒が、月の光を反射して揺れる。
義母は俺の正面に座っていた。
「たまには、こういう時間もいいわね」
グラスの縁を軽くなぞる義母の指先。
俺は無言のまま、喉を鳴らして酒を飲んだ。
「……驚いた?」
突然の問いに、俺は顔を上げる。
「え?」
「さっきの私の格好……」
義母はゆっくりと微笑んだ。
「あなた、少し驚いた顔をしていたから」
――気づかれていた。
俺が動揺していたことも、目のやり場に困っていたことも、すべて。
義母の笑みが、妙に意地悪に思えた。
何かを確かめるような、そんな表情。
「私は、もうおばさんなのにね」
「……そんなこと、ないですよ」
思わず言葉がこぼれた。
しまった、と思った時には遅かった。
義母の瞳が、少しだけ細められる。
まるで、俺の反応を楽しんでいるように。
「……ふふっ」
そして、義母はグラスを口元に運び、ゆっくりと酒を含んだ。
白い喉がわずかに動き、俺の心臓がひどく高鳴る。
この時間、この空気――すべてが危うい。
「あなたは、どう思うの?」
不意に、義母が尋ねた。
「え……?」
「私の肌。まだ、綺麗かしら?」
その言葉に、俺は息を呑んだ。
――もう、引き返せないところまで来てしまったのかもしれない。
俺は、答えられなかった。
義母の瞳が俺を試すように揺れている。
「まだ、綺麗かしら?」
それはまるで、誘うような問いだった。
逃げるべきだ。
こんな会話を続けてはいけない。
それなのに、俺の視線は義母の指先に釘付けになっていた。
グラスを持つ細い指、白くなめらかな手首。
浴衣の袖口が少しずれて、しっとりとした肌がのぞく。
答えなくても、義母はすべてを悟っているのかもしれない。
俺が言葉を探している間に、義母はグラスを置いた。
ゆっくりと、指先を首筋に滑らせる。
「やっぱり……答えづらいわよね」
少しだけ寂しそうな笑み。
違う。そんな表情をされると、理性が揺らぐ。
「……綺麗ですよ」
気がつけば、俺はそう口にしていた。
取り繕うような言葉ではない。本心だった。
義母の肌は、驚くほど美しかった。
妻よりもずっと年上なのに、どこか色香が漂う。
それを見てしまった以上、冷静でいられるはずがなかった。
義母は静かに目を伏せ、唇に微かな笑みを浮かべる。
「ありがとう……素直にそう言ってもらえるの、嬉しいわ」
――しまった。
そんな風に言われたら、もう後戻りできない。
俺の目線も、心も、義母に囚われたままだった。
「ねぇ……少し、近くに来てくれる?」
その言葉に、喉が鳴る。
近くに? そんなの……ダメだ。
ここで距離を縮めたら、もう……
――けれど、俺は立ち上がっていた。
ゆっくりと、義母の前に座る。
浴衣の襟元が微かに開き、月明かりが義母の肌を照らしていた。
「……もう、お酒のせいにできないわね」
そう言いながら、義母が俺を見つめる。
その瞳の奥には、 俺と同じ迷いと、同じ衝動があった。
このままいけば、すべてが変わる。
それでも、俺は止まれなかった。
もう、後には戻れない。
俺は義母の瞳をじっと見つめた。
拒むことも、逃げることもできなかった。
「……義母さん」
その一言が、全ての均衡を崩した。
義母はふっと微笑むと、そっと指を伸ばし、俺の頬に触れた。
指先が微かに震えている。
それが、俺をさらに狂わせた。
「……こんなこと、考えたこともなかったわ」
本当だろうか?
それとも、自分を納得させるための言葉なのか。
「けどね……あなたの目を見たら、わかるの」
義母の声が微かに揺れる。
「私と同じ気持ちなのね……?」
違う、そうじゃない。
俺は否定しなければならなかった。
けれど、何も言えなかった。
義母の指がそっと俺の唇に触れる。
それだけで、体の奥が熱くなる。
「……ダメね。こんなこと、いけないのに」
そう呟く義母の頬が、ほんのり朱に染まる。
けれど、その目は俺を拒んでいなかった。
俺は、静かに手を伸ばした。
理性なんて、もう残っていなかった。
義母の肌に触れた瞬間、すべてが決まった。
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