弟の嫁はもう“他人”でも俺の目は彼女から離れなかった。(兄の独白)
弟が逝って、半年が経った。
まだどこか、現実味がない。
だけど、その分だけ、彼女の存在が日ごとに濃くなるんだ。
弟の嫁――いや、もう“嫁”とは呼べないんだろうな。
法的には、彼女と俺の関係はすでに終わっている。
「姻族関係終了」──あまりに冷たい言葉だ。
でも、彼女は今も仏壇に手を合わせに来てくれる。
小さな菓子折を抱えて、「お義兄さん、こんにちは」と微笑むその顔は、あの頃と何も変わらない。
なのに……何もかもが変わってしまった。
仏壇の前で正座する彼女のうなじが、妙に白くて、首すじから背中にかけて汗が一筋、流れていた。
喪服の喪が薄れたその日、彼女は柔らかいグレーのカーディガンに、膝の見えるスカートを穿いてきた。
ああ、こんなに女らしい人だったか……いや、見ないようにしていたんだろうな。
「弟の嫁」っていう立場が、俺に理性を保たせていた。
だが今は?
ある日、彼女がぽつりとつぶやいた。
「……お義母さん、そろそろ介護が必要になるかもね」
「でも私、もう……他人なんですよね」って、苦笑いしながら。
俺は返す言葉がなかった。
彼女はずっと家族のように振る舞っていた。
それでも現実は非情だ。
弟が死ねば、彼女はただの“元嫁”。
親の遺産も、もう彼女のものにはならない。
いくら世話をしても、何年寄り添っても、「あなたには法的権利がありません」と、バッサリ切り捨てられるのが現実。
その夜、眠れなかった。
まぶたを閉じても、彼女の細い肩と、湿った視線が浮かんで離れない。
──俺の中で、何かが変わりはじめていた。
弟のいないこの家に、彼女の声が響くたび、俺の胸はざわつく。
「お義兄さん、これ好きでしたよね?」と、味噌汁を差し出すその指先の白さに、妙な想像が湧いてしまう。
いけないと思っても、もう俺の目は、彼女の唇を、膝を、ゆっくりと追っている。
あるとき、夜更けに彼女を駅まで送った帰り道。
風に揺れる彼女の髪の香りが、俺の顔を撫でた。
彼女は少し酔っていたのか、足元をふらつかせて、俺の腕に触れた。
「……ごめんなさいね。頼る相手が、もうお義兄さんしかいなくて」
その一言に、俺の理性はぐらついた。
「頼れ、俺でよければ。……なんでも、するよ」
そう言ったとき、俺の声は、明らかに男の声だった。
彼女は何も言わなかった。
けれど、その沈黙が、答えのように思えた。
――弟の嫁は、もう他人。
それでも俺の中では、今も、いや、それ以上に“特別な女”になっていく。
この感情が、罪なのか、救いなのか。
答えは、たぶん、もう少し先にあるんだろう。
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