急いで、早くして、慌てないで「伯母の誘惑」

俺の名前は 涼介。26歳。  

都内の小さな広告会社で働く、ごく普通のサラリーマンだ。  

1年前、父が他界し、実家を処分することになった。母は俺が大学時代に病気で亡くなっていて、唯一の肉親だった父もいなくなり、俺は完全に独りになった。  

家族という温もりを失った俺に「うちに来れば？」と声をかけてくれたのは、伯母の美沙だった。  

美沙伯母さんは、母の姉で、現在 51歳。  

俺が子供の頃から、とにかく綺麗な人だった。  

母より3歳年上で、昔から色気のある女性で、周囲の男性からもモテていた。  

伯父…つまり美沙伯母さんの夫は数年前に病気で亡くなり、それからは一人暮らしをしていたらしい。  

「どうせ広い家にひとりでいるんだから、気にしないで」  

そう言って笑う伯母に甘えるようにして、俺は彼女の家に居候することになった。  

  

 禁断の気配  

伯母の家での生活は、思った以上に快適だった。  

美沙伯母さんは仕事をしているけど、家事も完璧にこなすし、俺が帰る頃には温かいご飯を用意してくれる。  

「涼介は好き嫌いなかったわよね？」  

「まあ、基本なんでも食べるよ」  

「ならよかった。たくさん食べなさい」  

昔と変わらない、優しい伯母の笑顔。  

でも俺は、時々 戸惑いを覚える瞬間 があった。  

伯母さんは、家の中では 妙に無防備 だった。  

部屋着はシルクの薄手のキャミソールや短めのルームパンツ。  

何気なくかがむたびに、胸元がチラリと覗くこともある。  

俺は できるだけ見ないように していた。  

でも、どうしても意識してしまう。  

伯母さんが、 「女」 に見えてしまう。  

  

 運命の夜  

その日は、伯母さんと 2人で晩酌 をしていた。  

伯母さんはお酒が強いけど、俺はそこまで飲めない。  

「涼介、お酒弱いのね」  

「いや、伯母さんが強すぎるだけじゃ…？」  

「ふふっ、そうかもね」  

伯母さんは上機嫌で、頬を少し赤くしていた。  

「涼介も、もう26歳なのよね… すっかり大人の男になったわ」  

「まあ…一応、ね」  

「彼女はいるの？」  

「今はいないよ」  

「えー、もったいない。涼介、優しいし、かっこいいのに」  

伯母さんは じっと俺を見つめながら、そう言った。  

  

酔っていたのかもしれない。  

でも、伯母さんの視線は、いつもと少し違っていた。  

「伯母さんこそ、再婚とか考えないの？」  

俺がそう聞くと、伯母さんは ふっと寂しそうに笑った。  

「もういいのよ、そういうのは。  

　一人のほうが気楽だし…それに」  

「それに？」  

「…好きな人とじゃなきゃ、意味がないわ」  

その言葉が、なぜか心に引っかかった。  

伯母さんの目が、ゆっくりと俺を捉える。  

「涼介は…今、好きな人いるの？」  

俺は 何かに吸い寄せられるように、伯母さんの顔を見つめた。  

沈黙のまま、俺たちは ゆっくりと距離を縮める。  

お互いに、言葉を交わすことなく――  

唇が、触れた。  

  

 越えてはいけない一線  

最初は ただのキス だった。  

でも、伯母さんの 熱を帯びた吐息 を感じた瞬間、何かが 崩れた。  

俺は伯母さんの肩を抱き寄せ、もう一度 深く 唇を重ねた。  

伯母さんは、一瞬だけ戸惑ったように息をのんだ。  

でも、次の瞬間――  

伯母さんの腕が そっと俺の背中に回される。  

もう、止まれなかった。  

伯母さんの細い肩に手を滑らせる。  

触れるたびに、彼女は小さく震えた。  

「ダメよ、涼介…」  

そう言いながらも、伯母さんは俺を拒まない。  

俺たちは、一線を越えてしまった。  

  

 翌朝の現実  

目が覚めると、伯母さんは俺の隣にいた。  

シーツの中で裸の肩を見せながら、静かに目を閉じている。  

現実を受け止めきれず、俺はしばらく動けなかった。  

昨夜の記憶が、頭の中で鮮明に蘇る。  

「俺は、やってはいけないことをしてしまったのか…？」  

でも、後悔よりも先に浮かんだのは、伯母さんの 柔らかな温もり だった。  

そのとき、伯母さんがゆっくりと目を開ける。  

俺と視線が合うと、彼女は 少し切なそうに微笑んだ。  

「…おはよう、涼介」  

俺は何も言えず、ただ彼女の顔を見つめることしかできなかった――。  

揺れる想い

伯母さんの寝顔を見つめながら、俺の胸の内は混乱していた。

何をしてしまったんだ。

理性ではわかっている。俺たちは越えてはいけない一線を越えた。でも、後悔よりも、伯母さんの温もりを忘れられない自分がいた。

静かな部屋に、伯母さんの寝息が穏やかに響く。

「……涼介？」

ゆっくりと瞼を開いた伯母さんが、俺を見つめる。ぼんやりとした表情から、次第に昨夜の記憶が蘇るのがわかった。

俺が口を開こうとする前に、伯母さんは微笑んだ。

「おはよう……」

その声は優しく、けれどどこか切なげだった。

「……おはよう、伯母さん」

ぎこちなく返す俺に、伯母さんはシーツを引き寄せながら身を起こす。

「昨夜のこと……覚えてる？」

「ああ……もちろん」

「……そう」

伯母さんは小さく息をつき、視線を落とした。

「涼介、ごめんなさいね……」

「どうして謝るの？」

「だって……私、大人なのに……」

言葉を詰まらせる伯母さんを前に、俺の心がざわつく。

「俺は……後悔してないよ」

正直な気持ちだった。

伯母さんを求めた夜、俺の中の何かが変わった気がした。これはただの衝動じゃない。ずっと感じていた伯母さんへの想いが、形になっただけなのかもしれない。

「でも……私たちは、家族よ」

「血が繋がってるわけじゃない」

俺の言葉に、伯母さんは一瞬驚いたように目を見開いた。

「……涼介」

「伯母さんを、女として見てしまう俺がいる。ずっと前から……気づいてたんだ」

伯母さんの唇が震える。

「でも、これからどうするの？」

伯母さんの問いに、俺は答えを持っていなかった。

どうするべきなのか。

このまま伯母さんと関係を続けていいのか。

心の奥で問いながらも、俺は伯母さんの手をそっと握った。

「伯母さんが嫌なら……やめるよ。でも、俺は……」

伯母さんの手が微かに震える。

沈黙の後、伯母さんは目を伏せ、小さく微笑んだ。

「……少しだけ、考えさせて」

それは、拒絶ではなかった。

俺たちの関係は、今、始まったばかりなのかもしれない。

距離と迷い

それから数日間、伯母さんとの間には微妙な距離が生まれた。

いつものように食卓を囲み、笑顔で会話をするものの、どこかぎこちない。視線が合うと、お互いにすぐ逸らしてしまう。

伯母さんは意識的に俺との距離を取ろうとしているのがわかった。

「涼介、おかわりいる？」

「……うん、もらうよ」

食卓に並ぶ手料理は変わらず美味しい。でも、伯母さんの表情にはどこか迷いがある。

俺も、どうすればいいのかわからなかった。

伯母さんが考える時間を欲しがっているなら、俺も焦らず待とう。そう思っていた。

でも、ある夜。

俺が帰宅すると、伯母さんがリビングでワイングラスを傾けていた。

「涼介、おかえりなさい」

「……伯母さん、飲んでるの？」

「ええ……ちょっとね」

普段は晩酌程度にしか飲まない伯母さんが、グラスをゆっくりと揺らしながら、物思いにふけっている。

俺は隣に腰を下ろした。

「何かあった？」

伯母さんは静かに微笑んだ。

「ねえ、涼介……本当に、後悔してないの？」

俺はその問いに即答した。

「してないよ」

伯母さんはグラスをテーブルに置き、俺の顔をじっと見つめる。

「……私ね、ずっと寂しかったのかもしれない」

「伯母さん……」

「夫が亡くなって、一人で過ごす時間が増えて……。あなたがここに来てくれて、嬉しかったの。でも……」

伯母さんの瞳が揺れる。

「もし、私たちがこのまま関係を深めたら……どこへ向かうのか、怖いの」

「俺も、正直わからない」

俺は伯母さんの手を取り、そっと握った。

「でも……伯母さんを好きになった気持ちは、変わらない」

伯母さんは微かに震えながら、俺の手を握り返した。

「……私も、涼介のことが……」

言葉の続きを待つ間、心臓の鼓動が高鳴る。

伯母さんはそっと目を閉じ、俺に身を預けるように寄り添ってきた。

俺はゆっくりと手を伸ばし、伯母の滑りに触れた。

その夜、俺たちはまた、一線を越えようとしていた――。

翌朝、

伯母さんは静かに微笑んだまま、俺の頬にそっと手を添えた。

「涼介……昨夜のこと、覚えてる？」

低く甘い声が、まだ覚めきらない意識に染み込んでいく。忘れるわけがない。伯母さんの温もりも、吐息も、全てがまだ俺の肌に残っている。

「……うん」

短く答えながら、俺は伯母さんの瞳を見つめた。そこには後悔も拒絶もなかった。けれど、その奥にある微かな迷いに気づかないふりはできない。

「私……あなたを傷つけてしまったかしら？」

「そんなことない……けど、伯母さんが後悔してるなら……」

言葉を探す俺の唇を、伯母さんの指先がそっとなぞる。

「違うの。後悔なんてしていないわ。ただ……これからのことを、考えないといけないわね」

「これから……？」

「うん。私たちの関係が、昨日までとは違うものになってしまったのは確かだから」

伯母さんの言葉の意味を理解しながら、俺は心の奥でざわつく感情を抑えきれなかった。昨夜の出来事は、一時の過ちなんかじゃない。俺は伯母さんを求めてしまった。そして、伯母さんも俺を受け入れてくれた。

「伯母さんは……俺と、どうなりたい？」

静かに問うと、伯母さんは少しだけ視線をそらし、考えるように唇を噛んだ。しばらくして、意を決したように俺の目をまっすぐに見つめる。

「私も……自分の気持ちを、確かめたいの」

その答えを聞いた瞬間、俺の中の迷いは吹き飛んだ。

「だったら……俺に、伯母さんの気持ちを教えてよ」

俺はそっと伯母さんの肩を引き寄せた。彼女は驚いたように目を見開いたが、すぐに瞳を閉じ、俺の胸に身を預ける。

「涼介……もう、伯母さんじゃなくていいわ。名前で呼んで」

「……美沙さん」

初めて呼んだその名前は、驚くほどしっくりと胸に馴染んだ。美沙さんは微笑みながら、そっと俺の髪を撫でる。

「私たち、どうなってしまうのかしら……」

その呟きに答える代わりに、俺は美沙さんの指をそっと絡め取った。この関係がどこへ向かうのかはまだわからない。でも、ただ一つ確かなことは――

俺は、もう後戻りするつもりはなかった。

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