「ちょっと、お義母さん……ナメコのヌルヌル、洗わないんですか?」
台所に立つ義母の背中を見つめながら、私はそう問いかけた。
鍋の中に直接、袋からザザーッとナメコを放り込む手つきは迷いがない。
「このヌメリが美味しいのよ。洗ったらもったいないでしょ?」
振り向いた義母は、にっこりと笑う。
やわらかな唇の端が上品に上がり、まるで少女のような可愛らしさを残している。
けれど、その瞳にはどこか艶があった。
「でも……」
私は言葉を濁した。
本当にそのヌメリが美味しいのか、それともただの手間を省いているだけなのか。
いや、そんなことはどうでもよかった。
私の視線は、鍋ではなく、義母の白く細い指へと吸い寄せられていた。
「ほら、味見してみなさいな」
そう言って義母は、箸でナメコをすくい上げ、私の唇にそっと近づけた。
ぷるんと震えるナメコが、義母の指の動きに合わせて揺れる。
その艶めかしさに、私は息を呑んだ。
「……熱いですよ」
逃げるように後ずさると、義母はくすっと笑う。
「大丈夫よ、ふーって冷ましてあげる」
そう言って、彼女はナメコを口元に持っていき、ふうっと優しく息を吹きかけた。
温かく湿った吐息が、私の頬にまで届く。
「さあ、召し上がれ」
私は、そっと口を開いた。
熱くとろけるような食感が舌に絡みつく。
ぬめりとともに、何か言い知れぬ甘美な感覚が広がった。
「……やっぱり、このままが美味しいでしょう?」
義母は満足げに微笑む。
私は何も言えずに、ただ頷いた。
それが、私たちの秘めた関係の始まりだった――。
ナメコのぬめりが舌の上でとろけていく。
それと同時に、義母の指が私の唇に触れたような錯覚に陥った。
「美味しいでしょう?」
義母は満足そうに微笑んだ。
まるで私の反応を確かめるように、じっと見つめてくる。
「……はい」
熱のこもった視線をそらしながら答えると、義母はふっと笑い、鍋の蓋を閉じた。
「じゃあ、あとは煮込むだけね。あなた、お味噌溶いてくれる?」
「あ、はい」
私は急いで出汁の入ったお椀を手に取る。
この妙な空気を振り払いたかった。
なのに、味噌を溶こうとお椀を手にした瞬間、義母の指がすっと伸びてきた。
そのまま、私の手にそっと添えられる。
「こうやって、ゆっくり溶くのよ」
後ろから体を寄せてくる義母の温もりが、背中越しに伝わる。
ふわりと漂う髪の香りと、台所に広がる味噌の香ばしい香りが混ざり合い、私の理性を鈍らせた。
「……お義母さん?」
「ん?」
耳元で囁かれる声に、背筋がざわめく。
「……何でもありません」
私は小さく首を振り、味噌をかき混ぜることに集中した。
だけど、義母の手はなかなか離れない。
指先がわずかに動き、私の指を撫でるように絡んだ。
「……あなた、可愛いわね」
低く甘い声が、耳元をくすぐる。
「お義母さん……」
「ふふ……冗談よ。さ、味噌汁を仕上げましょうか」
義母は何事もなかったかのように私から離れる。
けれど、私の胸の鼓動はまだ高鳴ったままだった――。
味噌を溶きながらも、義母の指先の感触が消えない。
胸の奥で何かがざわめく。
「お椀、出してくれる?」
義母の声に、私はハッと我に返った。
「あ、はい」
戸棚を開けて、漆塗りのお椀を取り出す。
すると、義母が背後からすっと腕を伸ばし、私の手のすぐそばで別のお椀を取った。
指と指が触れそうな距離――
けれど、触れはしない。
ほんのわずかな隙間に、妙な緊張が走る。
「じゃあ、よそいましょうか」
義母は平然と味噌汁をお玉ですくい、丁寧にお椀に注いでいく。
白い湯気がふわりと立ちのぼり、ナメコの艶やかな姿が揺れる。
「ふふ、やっぱりこのぬめりがいいのよね……」
どこか含みのある声でそう言うと、義母は私の方を見た。
「さ、冷めないうちにどうぞ?」
すすめられるままに、お椀を手に取る。
唇を添えると、熱い汁がゆっくりと喉を滑り落ちていく。
その感触に、私は思わず小さく息を呑んだ。
「……美味しいです」
そう呟くと、義母が満足そうに笑う。
「でしょう? ナメコはね、こうしてしっかり舌で味わうのがいいのよ」
私の目をじっと覗き込みながら、義母は自分の味噌汁をひと口含んだ。
唇をそっとなめる仕草が、妙に色っぽい。
「……ねぇ」
義母はお椀を置くと、ふわりと私の手を握った。
「これからも、私の作るもの……全部、味わってくれる?」
優しく撫でるような指先に、胸が高鳴る。
「……お義母さん、それって……」
返事をしようとした瞬間、玄関の引き戸が開く音がした。
「ただいまー!」
夫の声だった。
「あら、おかえりなさい」
義母はすっと手を離し、何事もなかったかのように振り返る。
私はひとり、熱のこもった指先を握りしめたまま、唇を噛んだ。
この気持ちの正体は、もう分かっている。
だけど、それを認めたら……もう後戻りはできなくなる。
私と、ナメコを洗わない義理母さんとの関係は、静かに始まりつつあった――。
「おかえりなさい」
義母が振り向き、何事もなかったかのように微笑んだ。
私はまだ熱の残る指先をぎゅっと握りしめたまま、夫の顔をまともに見られなかった。
「おっ、ナメコの味噌汁か。うまそうだな」
夫は無邪気に椅子に座り、味噌汁を一口すすった。
「うん、やっぱりお袋の味は最高だな!」
「ふふ、そうでしょう?」
義母は穏やかに笑いながら、私の方をちらりと見た。
その目には、先ほどまでとは違う、母親としての優しさがにじんでいた。
夫はそんな空気に気づくはずもなく、箸を進めている。
私は、何事もなかったように振る舞わなければいけなかった。
そう、何も――なかったのだから。
「あなたも、冷めないうちにどうぞ?」
義母の声が、少しだけ優しく響く。
私はお椀を手に取り、静かに味噌汁をすすった。
……やはり、ナメコのぬめりはそのままだった。
夫の前では、私たちはただの嫁と姑。
でも、さっきまでの微かなぬくもりと指先の記憶が、消えることはない。
食事が終わると、夫は満足げに「ごちそうさま!」と椅子を引いた。
「風呂入ってくるわ」
そう言って席を立つ夫の後ろ姿を見送りながら、私は息をひそめる。
カタン、と食器を片付ける音だけが、台所に響いた。
「……ねぇ」
義母が静かに口を開いた。
「後片付け、手伝ってくれる?」
「……はい」
それはいつもと変わらない日常のはずだった。
でも――私はもう知っている。
このキッチンに二人きりになるとき、私たちはほんの少しだけ、境界を踏み越えてしまうことを。
「じゃあ、私はお皿を洗うから……あなたはそっち、拭いてくれる?」
「はい……」
義母は袖をまくり、蛇口をひねる。
流れる水の音が、妙に耳に残る。
私は手拭き用のふきんを取り、皿を拭こうとした。
だけど――
「……ん?」
義母が、急に私の手をとった。
「あなた……まだ、指先が熱いわ」
そっと触れるその指に、私は息を詰めた。
「……お義母さん」
「ふふ、冗談よ」
義母はくすっと笑い、すぐに手を離す。
けれど、その目にはわずかに揺れる感情が見えた。
「ナメぇ……」
私は何も言えず、ただ黙って皿を拭く。
義母の手の温もりが、またしても心を乱していく。
こんなはずじゃなかったのに――。
この関係がどこへ向かうのか、それはまだ分からない。
でも、一度踏み入れたこのぬめりのような感情は、もう拭い去ることができなかった。
ナメコのように、ぬるりと絡みつき、私の心を掴んで離さない――。
義母の手が離れたあとも、その温もりが私の指先に残っていた。
食器を拭くふりをしながら、心の奥がざわめくのを抑えようとする。
「あなた、手が止まってるわよ?」
義母が笑いながら私を覗き込む。
「あ……すみません」
慌てて皿を拭き上げるけれど、意識は完全に義母に引き寄せられていた。
「……ねぇ」
突然、義母がぽつりと言った。
「はい?」
「さっきのこと……気にしてる?」
義母の声は穏やかだけど、どこか試すような響きがあった。
「……いえ」
思わず首を振る。
気にしていない――そんなわけがない。
あの指の感触も、耳元で囁かれた甘い声も、すべてが頭の中にこびりついて離れない。
義母はそんな私の反応を楽しむかのように、ふっと微笑んだ。
「ふふ……よかったわ」
それだけ言うと、彼女は静かに皿を洗い続けた。
私は、ただおとなしく食器を拭いていく。
だけど、その静寂の中で、義母の指先が何度も水をすくう音だけが妙に艶めかしく響いていた。
後片付けが終わると、義母はエプロンを外しながら小さく伸びをした。
「はぁ……今日も疲れたわね」
「……そうですね」
「ちょっと、お茶でも飲みましょうか?」
義母は何気ない様子で言ったけれど、その瞳にはどこか挑むような光が宿っていた。
「……はい」
私は頷くしかなかった。
夫が風呂から上がるまでの、ほんのわずかな時間。
その短いひとときが、今の私には何よりも甘美な時間に思えた。
義母は静かにお茶を淹れ、湯気の立つ湯飲みを私の前にそっと置く。
「ふふ……ちょっと熱いかも」
「……ありがとうございます」
湯飲みを両手で包み込むと、じんわりとした温かさが指先に広がる。
だけど、それ以上に私の体を熱くしているのは――目の前に座る義母の視線だった。
「ねぇ……」
義母は、湯飲みをそっと唇に運びながら、私をじっと見つめた。
「あなたは……私のこと、どう思ってる?」
突然の問いに、心臓が跳ねる。
「え……?」
「私はね、あなたのこと……とても可愛いと思ってるの」
ゆっくりとお茶を飲みながら、義母の瞳は私を捕らえて離さない。
「……お義母さん?」
「ふふ……冗談よ」
そう言いながらも、その目は冗談には見えなかった。
静かに流れる時間の中で、私の指先は再び熱を帯びていく。
――この関係が、ただの戯れで終わるとは思えなかった。
義母の瞳は、まるで私の心の奥を見透かしているようだった。
「……冗談、ですか?」
震える声で問い返すと、義母はふっと微笑んだ。
「さぁ、どうかしら?」
湯飲みをゆっくりと置き、その指先が滑るように縁をなぞる。
その仕草を、私は息を詰めて見つめていた。
夫はまだ風呂の中。
今、この場には私と義母しかいない。
「あなた、さっきからずっと私のことを見てるわね?」
「そ……そんなこと……」
否定したいのに、言葉が喉に絡まって出てこない。
義母は静かに立ち上がると、ゆっくりと私の隣に座った。
ほんのわずかに、肩が触れそうな距離。
「……ねぇ」
耳元で囁かれた声が、心の奥をくすぐる。
「あなた、私の手のぬくもり……まだ覚えてる?」
義母の指が、そっと私の手の甲に触れた。
「……っ」
びくりと肩が震える。
「そんなに驚かなくてもいいのに……」
指先がなぞるように、ゆっくりと動く。
「だって……あなたが見せる表情、とても可愛らしいんだもの」
「……お義母さん」
かすれた声で呼ぶと、義母はふっと笑う。
「ふふ……ダメよ。そんな顔をしたら」
「……え?」
「そんな顔をすると、私……もっと、意地悪をしたくなっちゃう」
義母の指が、私の手をしっかりと包み込んだ。
そのぬくもりに、私は逆らえなかった。
「……あっ」
指先が絡み合い、心の奥が熱くなる。
この関係が、もう後戻りできないものになりつつあることを、私ははっきりと理解していた。
――だけど、それでもいいと思ってしまう自分がいる。
義母の手のひらのぬくもりが、ナメコのぬめりのように私の心に絡みついて、離れなくなっていく――。
義母の指が私の手を包み込む。
そのぬくもりは、まるでナメコのぬめりのように絡みついて、じわりと私の内側を侵食していく。
「……そんなに緊張しなくてもいいのよ」
耳元で囁かれる声が、熱を帯びた吐息と混ざる。
「私たち……家族なんだから」
家族。
――その言葉に、心臓が大きく跳ねた。
家族なのに。
義母なのに。
こんなふうに、触れられている。
なのに、嫌じゃない。
むしろ……嬉しいとすら思ってしまう。
「……お義母さん」
震える声でそう呼ぶと、義母はゆっくりと私の手を撫でた。
「ふふ……可愛いわね」
その手が、そっと指を絡めてくる。
指先が触れ合うたび、心の奥がチクリと疼いた。
「ねぇ……あなたは?」
「……私、は……?」
「私のこと、どう思ってるの?」
義母の瞳が、ゆっくりと私を見つめる。
それはまるで、私がどんな言葉を返すのか試しているような、意地悪な視線だった。
「うぅ……」
答えられない。
口に出した瞬間、何かが決定的に変わってしまう気がして――。
けれど、義母は優しく微笑んで、そっと私の手を握りしめた。
「大丈夫……無理に言葉にしなくても」
その声は、驚くほど甘かった。
「でもね……」
義母の指が、私の手のひらをゆっくりと撫でる。
「あなたのこの震えた指先が、もう私に答えを教えてくれてるわ」
その瞬間、体の奥がゾクリと震えた。
私は、義母の手から逃げることも、振り払うこともできなかった。
……いいえ、もうそんなことをしたいとは思えなくなっていた。
義母のぬくもりが、私の心の奥深くに染み込んでいく。
まるで、洗われないナメコのように――。
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