義母の艶やかな黒髪が、浴室の灯りに照らされて濡れたように輝いていた。
「お風呂、いただいたわ」
バスローブの裾を軽く押さえながら、彼女は静かにリビングへと入ってくる。湯上がりの頬は紅潮し、艶やかな素肌が僅かに覗くその姿に、俺は息を飲んだ。
義母と呼ぶにはあまりに若く、そして美しいその人。
父が再婚したのは、まだ四十に届かない女性だった。初めて対面した時から、俺は彼女に心を奪われていた。
「ビールでも飲む?」
そう言って微笑む彼女の指が、冷蔵庫の取っ手に触れる。白く細い指先が、俺の視線をさらっていく。喉が鳴る。いけないことだと分かっているのに、理性は彼女の香りに呑まれてしまう。
「俺が出しますよ」
立ち上がると、ふわりと彼女のシャンプーの香りが鼻腔をくすぐる。タオルで拭いたばかりの髪が肩にかかり、わずかに湿っている。無防備な仕草に、思わず指を伸ばしたくなる。
「ありがとう」
彼女の声は甘く、耳の奥に残る。
缶ビールを手渡すと、彼女はふっと息を漏らしながらソファに腰を下ろした。白い太ももが一瞬だけ覗く。
「あなたとこうして飲むの、なんだか不思議ね」
くすりと笑う唇に、俺は目が離せない。酔いが回ったわけでもないのに、胸が熱い。
「……義母さんは、綺麗ですよ」
口をついて出た言葉に、彼女がゆっくりと視線を向ける。
「まあ、そんなこと言われたの、久しぶり」
指でグラスの縁をなぞる彼女の仕草が、妙に艶めかしく見える。
いけない。
分かっているのに、俺の視線はもう、彼女の細い鎖骨に吸い寄せられていた。バスローブの隙間から覗く素肌。その奥にある、決して触れてはならない禁断の温もり。
「……そんな目で見られたら、困るわよ」
低く囁く彼女の声が、俺の理性を掻き乱す。
心の奥に秘めていた想いが、溢れそうになる。
だが、その一線を超えた瞬間、もう元には戻れない。
義母の指が、そっと俺の頬に触れる。
「どうしましょうね……」
その言葉の先にあるものを、俺は恐れ、そして――求めてしまっていた。
彼女の指先が、ゆっくりと俺の唇へと触れる。
「……こんな風に見られると、私も……」
義母の吐息が近づく。甘く、熱を孕んだ声が、俺の理性を溶かしていく。
バスローブの裾がわずかに乱れ、彼女の肩が滑るように露わになる。
「……試してみる?」
囁きとともに、指先が俺の手を導いた。禁断の温もりに触れるか触れないか、その境界線で俺の心は揺れ動く。
だが、もう戻れない。
静寂の中、二人の間に生まれた熱が、ゆっくりと形を成していく。
夜はまだ、始まったばかりだった――。
彼女の手が俺の指をそっと絡め取り、その指先をそっと自身の胸元へと導く。
「……感じる?」
震える声で囁く彼女の瞳には、理性と戸惑い、そして……抗いきれない欲望が揺れていた。
俺は、もう引き返せないことを悟る。
指先に伝わる柔らかな温もり。
肌の上を滑る熱。
彼女の唇が、そっと近づく。
「……あなたが望むなら……」
言葉の続きを待つまでもなく、俺はその温もりを確かめるように、そっと彼女を抱き寄せた。
下着の隙間から覗く素肌が、俺の熱を煽る。
彼女の指が、俺の髪をそっと撫でる。
もう、理性なんて必要なかった。
この夜が、どんな結末を迎えるとしても……。
俺は、彼女を求めることを止められない。
義母の吐息が、熱を帯びる。
「こんなに……求められるなんて……」
彼女の手が俺の頬を包み込み、その指先が震える。
心の奥にしまい込んでいた感情が、堰を切ったように溢れ出す。
彼女の肌が、俺の胸に触れた瞬間、
俺たちはもう、戻れなくなっていた――。
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