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悶々とする夜の指先の記憶


──ふうっ……。


吐息がこぼれる。


しっとりと汗ばんだ指先が、ゆっくりと肌をなぞるたびに、ぞわりとした感覚が背筋を走るの。くすぐったいような、でも、たまらなく甘やかな疼き。


──くちゅ……。


ああ、もう……自分でも分かるくらい、熱を帯びてしまっている。


誰にも見られていないはずなのに、何故か視線を感じるのは、きっと背徳のせいね。ドクン、ドクンと高鳴る鼓動が、まるで私に問いかけてくるみたい。


──どうして、こんなに感じてしまうの?


静まり返った部屋に、微かな音が響くたびに、カァッと熱が頬に昇る。きゅん、と胸が締め付けられて、奥のほうでチリチリと疼く。


──あぁ……っ。


たったひとつの刺激が、波紋のように広がって、身体の奥からとろけるような感覚が湧き上がるの。くちゅ、ぬるん、ひくひく……そんな音が、私の耳をくすぐって、心まで蕩けさせる。


やがて、全身を駆け巡る電流が、弾けるように広がって──。


──びくっ。


その瞬間、全ての音が止まる。


息をのんで、私はただ、ゆるやかに余韻に浸る。


──ぽた……。


滴る感覚に、今さらながら羞恥がこみ上げる。でも、もう遅いわね。だって、こんなにも……。


──……くすっ。


笑いが漏れた。


私は、私を知ってしまったのね。


***


──カリ……。


氷の入ったグラスを唇にあてる。じんわりと冷たさが広がり、熱を持った身体をほんの少しだけ落ち着かせてくれる。


「ん……っ」


喉を鳴らして飲み込むと、ひやりとした感覚が、さっきまでの熱をじわじわと打ち消していく。


──でも。


指先に残る余韻は、まだそこにある。


頬杖をついて、窓の外を眺める。夜の闇が、しっとりと私を包み込むように感じる。


──このまま、眠れるかしら。


ほんのりと火照ったままの肌をそっと撫でながら、私は、もう一度小さく息を吐いた。


──ふうっ……。


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