私はソファに座り、膝に置いた雑誌をめくるでもなく、ただぼんやりと眺めていた。外は薄暗く、夕暮れが窓辺に影を落としている。54歳になったこの身体は、もう何年も誰かに触れられていない。「夫は仕事ばかりで、私のことなんて見向きもしない」と、私は小さく呟いた。声に出してみても、心の空洞は埋まらない。
キッチンで紅茶を淹れようと立ち上がった時、インターホンが鳴った。宅配便だろうかとドアを開けると、そこには隣に住む彼が立っていた。40歳くらいだろうか。白いシャツの袖をまくり、汗ばんだ腕が目に飛び込んでくる。「水道管が故障してしまって…少し水を借りられませんか」と彼が言う。私は頷き、彼を家に招き入れた。
彼がキッチンで水を汲む間、私はそっと背後からその姿を見つめた。汗で湿ったシャツが背中に張り付き、筋肉の動きが透けて見える。「こんな男に触れられたら、どうなるんだろう」と、私は思わず唇を噛んだ。この歳になって、こんなことを考えるなんて馬鹿げてる。でも、身体の奥が疼くのを止められない。
彼が振り向いて、「ありがとう、お礼に何か手伝えることがあれば言ってくださいね」と笑う。その笑顔が、私の胸を締め付けた。「手伝ってほしいこと？ たとえば、この寂しさを埋めてくれるとか？」と、私は冗談めかして言ってみた。すると彼は一瞬黙り、私をじっと見つめた後、「寂しいんですか？」と低い声で尋ねた。
その言葉に、私の心が軋んだ。「寂しいに決まってるじゃない。夫は私を女として見てくれないし、この身体はただ朽ちていくだけよ」と、私は吐き出すように言った。彼が一歩近づき、私の肩にそっと手を置く。「そんなことない。あなたはまだ充分魅力的だよ」と彼が囁く。その手が、私の肩から腕へと滑り落ちるたび、肌が熱を帯びていく。
私は目を閉じ、彼の息が近づくのを感じた。「触ってほしい」と、私は心の中で叫んでいた。次の瞬間、彼の唇が私の首筋に触れ、熱い吐息が皮膚を這う。私は小さく喘ぎ、「もっと…」と漏らしてしまった。彼の手が私の腰を引き寄せ、ブラウス越しにその指が背中をなぞる。布越しでも、彼の熱が私の欲求不満を溶かしていくのが分かった。
部屋の中は静かで、私の荒い息と彼の低い呟きだけが響き合う。「誰も見てないよ。ここで全部忘れよう」と彼が言う。私は頷き、彼の胸に顔を埋めた。シャツ越しに感じる彼の鼓動が、私の乾いた心に水をかけるようだった。この閉ざされた部屋で、私はようやく自分を解放できた。
彼の胸に顔を埋めたまま、私は自分の鼓動が彼の鼓動と混ざり合うのを感じていた。部屋の空気が重く、私の肌にまとわりつくようだった。「こんな気持ち、忘れてた」と私は呟き、彼のシャツを掴む手に力を込めた。彼の手が私の背中をゆっくりと撫で、その指先がブラウスを少しずつずらしていく。
「ねえ、私を女として見てくれる？」と私は掠れた声で聞いた。彼は私の顎を軽く持ち上げ、深い瞳で私を見つめた。「見てくれるどころか、感じてほしいよ。君がどれだけ熱いか」と彼が囁く。その言葉が、私の身体の奥に火をつけた。彼の唇が再び首筋に落ち、ゆっくりと鎖骨まで滑る。私は首を仰け反らせ、「そこ…もっと強くして」と我慢できずに漏らした。
彼の指がブラウスのボタンを外し、露わになった肌に触れるたび、私の息が乱れた。「夫には何年も触れられてないの。この肌、飢えてるのよ」と私は吐露した。彼は黙って私の肩を掴み、ソファに押し倒すようにして覆い被さった。「じゃあ、僕がその飢えを満たしてあげる」と彼が低く言うと同時に、唇が私の胸元に沈んだ。
彼の舌が肌を這う感触に、私は声を抑えきれず、「ああ…こんなの、ダメなのに」と喘いだ。でも、心のどこかで「もっと、もっと欲しい」と叫んでいた。彼の手が私のスカートをたくし上げ、太ももを撫でる。「こんなに震えてる。君、ずっと我慢してたんだね」と彼が耳元で囁く。その声が、私の理性を溶かした。
私は彼の首に腕を回し、「我慢なんて、もう無理よ。全部欲しい」と懇願するように言った。彼の指がさらに深く私の肌を探り、熱い吐息が私の耳を濡らす。私は目を閉じ、彼の重さと熱に身を委ねた。「こんな歳でも、まだこんなに感じるなんて」と自分で驚きながら、彼の動きに合わせるように腰を揺らした。
部屋の中は、私の喘ぎと彼の荒々しい息遣いだけが響き合い、外の世界なんて存在しないかのようだった。「君のこの熱、全部僕に預けて」と彼が言う。私は頷き、「全部あげるから…私を満たして」と掠れた声で応えた。この瞬間、私は欲求不満の殻を破り、ただ女として溺れることだけを求めた。
彼の指が私の肌を這い、熱い波が身体の奥から押し寄せる。私はソファの上で身をよじり、彼の首にしがみついた。「ねえ、もう…我慢できない」と私は掠れた声で訴えた。部屋の空気が湿り気を帯び、私の額に汗が滲む。彼の瞳が私を捉え、「我慢しなくていいよ。全部感じて」と低く囁く。その声が、私の心の最後の壁を崩した。
彼の唇が私の胸を辿り、舌が柔らかく皮膚をなぞるたび、私は小さく震えた。「ああ…そこ、ダメ…気持ちよすぎる」と私は喘ぎ、指先で彼の髪を掴んだ。身体が勝手に反応し、腰が彼の手の動きに合わせて揺れる。彼の指がさらに深く私を探り、「君、こんなに熱くなってる」と彼が耳元で呟く。その言葉に、私の息が一瞬止まった。
部屋の中は、私の荒い息とソファの軋む音だけが響き合う。私は目を閉じ、彼の熱と自分の熱が混ざり合うのを感じた。「もっと…もっと強くして」と私は懇願し、彼の肩に爪を立てた。彼の手が私の太ももを強く掴み、その動きが速くなる。私は頭を仰け反らせ、「ああ、もう…来そう」と声を漏らした。全身が熱く、頭の中が白く染まる。
「ねえ、私…こんなの初めてよ。こんなに感じるなんて」と私は喘ぎながら呟いた。彼が私の耳に唇を寄せ、「君の全部、僕に預けて。最高の瞬間をあげるよ」と囁く。その瞬間、彼の指が私の最も敏感な部分に触れ、私は一気に頂点へと押し上げられた。「ああっ…！」と声が溢れ、身体が弓なりに反る。頭の中が火花を散らし、全身が痙攣するように震えた。
絶頂の波が引くまで、私は彼の腕の中で息を荒げていた。「こんな気持ち…忘れてた。まだこんなに生きてるって感じられるなんて」と私は掠れた声で呟き、彼の胸に額を押し付けた。彼の手が私の髪を優しく撫で、「君はまだまだ輝けるよ」と静かに言う。私は目を閉じ、その余韻に浸りながら、長い間閉ざされていた欲望がようやく解放されたのを感じた。
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