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五十歳、まだ女でいたい ― 雨宿りの夜に触れた吐息



秋の夕暮れ、突然の雨に私は立ち尽くしていた。
折りたたみ傘を持っていなかった私は、濡れるまま駅前の小さなカフェに駆け込んだ。

「美沙子さん!」

https://youtu.be/CghovR1iPVk


振り返ると、そこにいたのは涼介くんだった。
スーツの肩が雨で濡れていて、それでも笑顔は明るくて……私は胸を締めつけられた。

「偶然ですね。よかったら、一緒に……」

二人並んで座った小さなテーブル。
窓の外では雨粒がガラスを打ち、街灯の光を滲ませていた。

私はワイングラスを指でなぞりながら、彼の横顔を盗み見た。
若々しい輪郭、伏せた睫毛の影。
それを見ているだけで、胸がざわついて仕方なかった。


「美沙子さんって……いつも香りがいいですね」

不意に彼がそう言った。
心臓が跳ねて、思わず笑ってごまかした。

「そんなこと……気のせいよ」
「いえ、ほんとに。落ち着くんです」

彼が少し身を寄せた瞬間、彼の体温と雨の匂いが混じり合って、私の全身を包んだ。
その距離は、罪を予感させるほどに近くて――私は呼吸を忘れた。


家に帰れば、夫はいつものようにソファで眠っている。
その姿を横目に見ながら、私は心の中で呟いた。

「私を見てくれる人が、他にいる……
 私を、女として感じてくれる人が……」

罪悪感はあった。
でも、それ以上に抗えない欲望が心を占めていた。


翌日、残業を終えた帰り道。
またしても雨が降り出し、私と涼介くんは同じ屋根の下に駆け込んだ。
小さなアーケード。二人きりの空間。

「また一緒ですね」
「ほんとに……」

私は濡れた髪を整えていた。
そのとき、涼介くんがそっとタオルを差し出してくれた。

「風邪ひきますよ」

彼の手が私の髪に触れた瞬間、体が小さく震えた。
こんなにも近い距離で、誰かに触れられるなんて……。


「美沙子さん」
低い声で呼ばれて、私は彼を見つめてしまった。
吐息が触れるほどの距離。
雨音が、二人だけの世界を覆い隠してくれる。

「……だめ、よ」

そう言いながらも、私はその場から動けなかった。
背中に走る熱、胸の鼓動、唇が乾く。
心と身体が正反対の声をあげていた。


その夜。
鏡の前に座った私は、濡れた髪をほどき、赤い口紅を引いた。
そこに映る自分は、妻でも母でもなく――欲望に震える女だった。

「私はまだ……女。
 まだ、愛されたいのよ」

指で唇をなぞりながら、雨宿りの夜に近づいた彼の顔を思い浮かべる。
あの吐息、あの手のぬくもりが、全身を熱くさせる。

そして私は悟った。
一度芽生えた欲望は、もう戻すことはできない――。



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