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お義父さんやめてください。「むせび泣く嫁」

朝の光がカーテンの隙間から差し込み、部屋を柔らかく照らしていた。キッチンからは夫がコーヒーを淹れる音が聞こえてくる。私も一日の始まりに向けて、洗面所で顔を洗おうと足を運んだ。鏡の前には、昨日夜に使ったばかりの私の歯ブラシが立てかけられている。けれど、何かが違う。 「あれ? なんか毛先が広がってる?」 そう呟きながら手に取った瞬間、私は息を呑んだ。毛先には微かに湿り気が残り、使った形跡が明らかだった。 「また……なの?」 胸がぎゅっと締め付けられるような感覚に襲われた。義父さん、お願いだからやめてください。私の歯ブラシを使うのは。 リビングに戻ると、義父が朝食のテーブルに座って新聞を広げていた。何事もなかったかのような穏やかな表情だ。その姿を見て、どう切り出せばいいのか迷ってしまう。 「お義父さん、あの……」 言葉が詰まる。何度も注意したけど、どうしても直らない。わざとなのか、ただの勘違いなのか、それすら確かめるのが怖い。 「ん? なんだい?」 義父さんは私に目を向けた。その瞳には悪びれる様子など一切ない。むしろ、私が何かを責めるのは間違いなんじゃないかと錯覚しそうなほど、穏やかだった。 「いや、なんでもないです。」 結局、いつものように言い出せなかった。台所に戻り、夫が淹れてくれたコーヒーを飲みながら、自分の小ささに嫌気がさした。 その日の夕方、義母がふと話しかけてきた。 「最近、あの人、物忘れがひどくてね。」 「え、そうなんですか?」 「この前なんか、自分の歯ブラシをどこに置いたか忘れちゃってね。探すのが面倒だったのか、適当に目に入った歯ブラシを使ったみたいで……」 その一言で、私はすべてを理解した。義父さんは悪気があってやっているわけではない。けれど、それで納得できるわけでもない。 その夜、夫と二人で話し合った。 「ねえ、あなた。義父さんのことなんだけど……」 「また歯ブラシの件?」 「そう。やっぱり衛生的に良くないし、どうにかしないと。」 夫は困ったように頭をかきながら答えた。 「わかった。父さんにちゃんと話すよ。でも、少しずつでいいか?」 「うん。それでいい。」 私はそれ以上は何も言わなかった。少しでも前に進めば、それでいい。 翌朝、私は新しい歯ブラシを買ってきた。それを洗面所の引き出しに隠し、代わりに義父さんが間違えてもいいような古い歯ブラシを目立つ場所に...

お母さん、僕もう我慢できない。「義理の息子は私のことが好きなの。」

第一章:始まりの夜 私は今、夜の静けさの中で一人、ソファに座っている。外の空気は冷たく、窓から差し込む月明かりが部屋の隅々を柔らかく照らしている。手には温かいお茶を持ち、ゆっくりと飲みながら、心の中で静かに思いを巡らせていた。 「お義母さん、ちょっといい?」 義理の息子、智也の声が聞こえたのは、もうだいぶ遅い時間だった。予想していた通り、彼が私に何かを相談しに来たのだろう。少し驚いたが、私はすぐに答えた。 「どうしたの、智也?」 ドアが開いて、智也が静かに部屋に入ってきた。普段はあまり目立たない彼だが、今日は少し様子が違う。顔には何かを抱え込んだような、複雑な表情が浮かんでいた。 「お母さん、話があるんだ。」 私はゆっくりとお茶をテーブルに置き、彼を見つめた。 「何かあったの?」 智也はしばらく黙って立っていたが、やがて重い口を開いた。 「実は…お母さんのことが、僕、好きなんだ。」 その言葉が私の胸に深く突き刺さった。驚きと困惑が入り混じった感情が湧き上がり、しばらく言葉が出なかった。智也の顔を見つめるうちに、私は自分の心がどう反応すべきなのか分からなくなっていた。 「それ、冗談じゃないの?」 私の声はどこかぎこちなく、震えていた。智也はゆっくりと首を横に振り、真剣な眼差しで私を見つめた。 「冗談じゃない。本当に、ずっと前からそう思ってた。」 私はその場に座ったまま、深呼吸をした。こんなこと、どう受け止めたらいいのだろう。義理の息子が、私を――。 「お母さん、どう思ってる?」 智也の問いかけに、私は答えられずにただ黙っていた。頭の中では、私の中で何かが崩れ始めているような気がした。義理の息子が私に好意を抱くなんて、どう考えてもおかしい。でも、彼の目に宿る真剣さに、私はどうしても無視できなかった。 「智也、そんなこと言ったら、何かが壊れてしまうかもしれないよ。」 私はようやく声を出したが、その声には不安が隠せなかった。もしこの気持ちに応えてしまったら、家族としての関係はどうなってしまうのだろうか。今の関係が壊れてしまう恐怖が、胸を締め付けていた。 智也は少し考え込んだようだったが、やがて静かに言った。 「でも、お母さんにはそのままでいて欲しいんだ。僕はお母さんと一緒に過ごしたい。」 私はその言葉を胸に受け止め、しばらく黙ったままでいた。彼の想いに答えられないことが、ど...

娘には内緒です。「義理の息子に膝枕してあげました。」

「あのね、こんな話、誰にも言えないんだけど…ちょっと聞いてくれる?」 昼下がりのリビング。カーテン越しに射し込む柔らかな日差しが、私の膝の上で眠る義理の息子、翔太の顔を照らしていた。娘の彩香が結婚してまだ一年。慣れない結婚生活に追われながらも、夫婦仲は良好だと言っていたけれど、翔太は最近、彩香には言えない仕事の悩みを私に相談するようになった。 「義母さんには何でも話せそうで…」と彼が言った時、正直少し誇らしかった。親子ほど年が離れているのに、彼は私を信頼してくれている。そう思うと、母親のような気持ちが湧いてきた。でも、どこかでそれだけじゃない感情も混じっている気がして…自分でも戸惑っているの。 「大丈夫だよ、翔太君。そんなに気を張らなくても、ちゃんと頑張ってるじゃない。」 「でも、彩香には言えないんです。弱音を吐いたら、がっかりされそうで…。」 彼がそう言って俯いた時、無意識に手を伸ばして彼の髪を撫でていたの。まるで、幼い頃の彩香を慰める時のように。 「疲れてるなら、少し休みなさい。ここでいいから。」 膝を軽く叩いて促すと、彼は少し驚いた顔をしたけれど、すぐに私の膝に頭を乗せた。あの瞬間、心臓が少し早くなったのを覚えている。 翔太が穏やかな寝息を立て始めると、私は彼の髪に触れる自分の手が止められなくなっていた。ふわりとした髪の感触が指先に伝わるたび、胸の奥がざわつく。この感覚は、どう説明したらいいのかしら? 「あの時、なんで膝を貸しちゃったんだろう…」 独り言のように呟いてみても、答えは出ない。たぶん、彼があまりにも疲れた顔をしていたからだと思う。でも、彩香に知られたら、きっと怒られる。嫉妬されるかもしれない。 「もし彩香が知ったら、『お母さん、何してるの』って言われるわよね。」 そんなことを考えると、罪悪感が胸に広がる。でも、不思議と後悔はしていないの。 彼が目を覚ましたのは、それからほんの数分後だった。 「あ、すみません…義母さん、寝ちゃってました。」 「いいのよ。ちょっとは楽になった?」 「はい。…ありがとうございます、本当に。」 彼の目がまっすぐ私を見ていた。その視線に、私は少しだけ息を呑んだ。こんなに真剣な目を向けられるのは久しぶりかもしれない。 「また辛くなったら、いつでも来なさい。私はいつでもここにいるから。」 そう言った自分の声が、どこかで震えていた...

禁断の恋 寝室で心が揺れる主婦

静かな午後、カフェの片隅で、佐藤美佳は一杯のコーヒーを前に考え込んでいた。彼女は中堅の会社で働く35歳の主婦。日々の忙しさに追われる中、心のどこかに空虚感を抱えていた。そんなある日、会社の新入社員、田中健二と出会った。彼は若く、明るい笑顔を持ち、美佳の心に少しずつ入り込んでいった。 「美佳さん、これ、美味しいですよ!」と、健二が勧めるスイーツを見て、彼女は笑顔を浮かべた。「ありがとう、健二くん。でも、私、ダイエット中なの。」 「そんなの関係ないです!たまには自分を甘やかさないと。」 その言葉に、彼女は心が温かくなるのを感じた。自分を気にかけてくれる存在がいることが、どれほど嬉しいことか。 それから数週間後、二人は仕事の後にカフェで会うようになった。話す内容は仕事や趣味からプライベートなことまで広がり、気づけば二人の距離は急速に近づいていた。しかし、美佳は心の奥で葛藤していた。彼女には夫がいるのだ。 「美佳さん、今度、映画を一緒に見に行きませんか?」健二が提案した。 「ごめんね、夫がいるから…」彼女は断ったが、心の中では行きたい気持ちが強かった。 その後も二人は秘密の関係を続け、互いに惹かれ合っていった。美佳は、健二の優しさや純粋な笑顔に心を奪われていく自分を止められなかった。 しかし、ある日、美佳の同僚である山田が彼女に言った。「最近、佐藤さん、元気ないね。何かあったの?」 その言葉に、美佳は一瞬ドキッとした。「大丈夫よ。ただの疲れかも。」 山田は心配そうに見つめた。「本当に?何かあれば、いつでも話してね。」 そのとき、美佳は自分の秘密がばれるのではないかと不安になった。周囲の目が気になりながらも、健二との関係は止められなかった。 ある晩、美佳は健二と密会する約束をしていた。二人は静かな公園で待ち合わせた。星空の下、健二の手を優しく握りしめながら、美佳は心の中の葛藤を打ち明けた。 「私、こんな関係が続くことが怖い。夫に申し訳ない気持ちが消えないの。」 健二は彼女の目を見つめ、「でも、僕たちはお互いに必要な存在だと思うよ。どうしても離れられないなら…」と、彼女を抱き寄せた。 その瞬間、美佳は一瞬の幸福感を感じたが、同時に罪の意識が押し寄せた。そんな中、偶然にも夫が近くを通りかかり、二人を見かけてしまった。 美佳は動揺し、急いで健二から離れた。夫は驚きと怒りの表情を浮か...

旦那の会社の部下と密会するのはだめですか?「奥さんの禁じられた遊び」

ねえ、聞いてくれる?最近、私、自分でも信じられないようなことをしてしまったの。分かってる、こんなの絶対にいけないことだって。でも、どうしてもあの夜のことを思い出すと、胸がざわつくのよ。   あの日は雨だった。窓の外はしとしとと音を立てていて、まるで私の心を映しているみたいだったの。何か変わり映えのしない日常を壊したい、そんな衝動に駆られていた時に彼――渡辺君からのLINEが来たの。   「今日、少し話せませんか?」って。何の前触れもなくよ。普通なら、「どうして?」とか「何の用?」って返すんだろうけど、その日は違った。ただ、「いいわよ」って即答してた。なんでそんなに軽率だったのか、自分でも分からないの。   待ち合わせは、駅前の小さなカフェ。旦那の部下と、こんな形で会うなんてね。私の中ではいけないことだと分かりつつも、心のどこかでワクワクしてる自分がいたのよ。   カフェのドアを開けた瞬間、渡辺君がすぐに目に入った。スーツ姿なのに、どこかリラックスした雰囲気。普段は旦那と一緒にいる彼しか見たことがなかったけど、その日は一人の男性として目に映ったの。   「お疲れ様です。わざわざありがとうございます。」   彼が少し緊張気味にそう言って、席を勧めてくれた。   「別にいいわよ。で、何の話?」   私も素っ気なく答えたけど、心の中ではドキドキしてたの。だって、彼の視線が真っ直ぐで、なんだか逃げ場がないような気がして。   「実は…奥さんに相談したいことがあって。」   その「奥さん」って呼び方が、なんだかくすぐったかったわ。私の名前じゃなくて、旦那の奥さんとして見られてることに、どこか寂しさと嬉しさが混ざったような感情が湧いたの。   話の内容は仕事の愚痴だった。上司の厳しさやプレッシャーについて、彼が真剣に語る姿は、意外と熱っぽくて新鮮だったのよ。でも、私が彼の言葉に聞き入っていると、ふと彼がこう言ったの。   「…奥さんって、普段どんなふうに過ごしてるんですか?」   突然の質問に戸惑ったけど、正直に答えたわ。「特...

義母との親密な関係 罪悪感と後悔を生む感情的な満足

「ねえ、私、あなたに言わなきゃいけないことがあるの。」   その声は震えていた。夜更け、リビングの薄暗い照明の中、彼が私の隣に座っている。娘の夫――いや、今は私の「彼」と呼ぶべきかもしれない。  「こんなこと、誰にも言えないのよ。でも、ずっと胸に溜めておくのはもう無理で……」   私は湯気の立つカップを両手で包み込みながら、彼の顔を見つめた。彼はただ静かにうなずき、私の言葉を待っていた。 --- すべてが始まったのは、一年前のことだった。夫が亡くなり、家に重たい静寂が広がった。娘夫婦が気を遣って、毎週顔を出してくれるようになったのはありがたかったけれど、正直、私は孤独だった。   それでも、あの――息子が――優しく接してくれるたび、私は少しずつ救われていったの。彼は気遣いが上手で、何気ない会話や、家事の手伝いまで、私の支えになってくれた。娘には申し訳ないけれど、彼の笑顔を見るだけで、どれほど心が温かくなったことか。 でも、そのうち私は気づいてしまった。彼に惹かれている自分に。   初めは「家族だから」と自分に言い聞かせていた。でもある日、彼が台所でエプロンを外している姿に見惚れてしまったとき、私は心の中で何かが壊れる音を聞いた。   --- 「あのとき、私、本当にどうかしてたの。あなたが優しすぎるから、つい……」   私は視線をカップに落とし、声を絞り出すように話した。   「でも、あなたも悪かったのよ。私が手を伸ばしたとき、拒まなかったでしょう?」   彼は何も言わなかった。ただ静かに息を吐き、私の手をそっと握り返してきた。その温もりが、さらに私を罪の深みに引きずり込む。   --- 夜の台所で、彼と二人きりになることが増えた。娘が眠った後、彼と話す時間だけが、私の孤独を埋めてくれた。ある晩、ふとした拍子に彼の手に触れてしまった。謝ろうとしたけれど、彼は笑って言った。   「お義母さん、いいんですよ。寂しいんでしょう?」   その言葉に胸が締め付けられる思いだった。どうして彼にはこんなにも見透かされてしまうのだろう。  ...

未亡人の愛 旦那さんが亡くなって湧き上がる激情の情事

夜の静けさが、夫がいなくなった家に染み込んでいく。私の胸に広がる空虚さを、誰に話せばいいのだろう。そんな時だった、彼が訪れたのは。 「また来てくれたのね…ありがとう」 私は笑みを浮かべながらも、心の奥で震える自分を感じていた。いつもは冷静でいられるのに、彼の声を聞くと、まるで若い頃のように動揺してしまう。 「もう平気?少しずつでも元気になってきた?」 彼の温かい声が心地良い反面、胸が痛む。彼の優しさは嬉しいのに、罪悪感で胸が締め付けられるのだ。夫が亡くなってからずっと、私は一人で生きる覚悟を決めていたはずなのに…。 「ええ、大丈夫。少しずつだけどね…でも、あなたがこうして顔を出してくれるから、救われてるわ」 「そんなことないさ。君が少しでも楽になれるなら、いつでもここにいるよ」 彼の手がそっと私の手を包む。思わず息を飲んだ。人肌の温もりが、あまりにも懐かしくて、涙が滲んでくる。亡き夫に触れていた感触が、ぼんやりと思い出される。 「…いけないわ、私…こんなこと…」 「何がいけないんだい?君は一人じゃない。誰かに頼ったっていいじゃないか」 その言葉が、心の中の壁を揺らした。私が望んでいたのは、彼の言葉だったのかもしれない。禁忌と分かっていても、この感情に抗うことができない自分がいる。静寂の中、彼の腕に身を預ける私。今夜だけでも、悲しみと孤独から解き放たれたいと願った。 --- 「…でも、私には…まだ彼が、夫がいる気がして」 私の言葉に、彼は静かに頷いた。彼がそっと私の手を離し、椅子に深く座り直す。その仕草に、今までの関係が壊れてしまうような不安が胸をよぎる。 「無理をする必要はないよ。君がこうして思い出を大事にしていることが、彼もきっと嬉しいと思っている」 彼の言葉は真摯で優しい。それなのに、心の奥底から湧き上がってくる感情に蓋をすることができない自分がいた。 「…ありがとう。でもね、私も自分に嘘をつき続けることが、だんだん辛くなってきたの」 そう言って彼を見つめた。彼は何も言わず、ただ私の目をじっと見返してくれる。その視線が、どこか切なく、優しい。そして、ふと気づいたのだ。彼もまた、私の心の迷いに気づいていたのだと。 「あなたが私のことを想ってくれていること、嬉しいの。だけど、それ以上に怖いの…夫への罪悪感が」 彼が私の手をもう一度そっと握りしめる。指先に伝わる彼の温...

高校生の時に近所のおじさんからクリの皮むきを教わったの

「ねえ、ちょっといい?あの時のこと、話してもいいかな?何でもない出来事のはずなんだけど…なんだか今でも鮮明に覚えてるのよ。高校生の時ね、近所に住んでたおじさんから、クリの皮むきを教わったことがあったの。その出来事が、今思い返してみると、私にとってはただの栗むきじゃなかったんだって、最近ようやく気付いたの。」 秋も深まって、庭に落ち葉が舞い散る季節だった。家の向かいに住むおじさんは、いつも庭先で何かしらの作業をしているのが印象的で、私は子供の頃からそれをぼんやり眺めるのが好きだった。ある日、学校から帰る途中、ふとしたきっかけでそのおじさんと話をすることになったの。いつも無口で近寄りがたいと思っていたのに、その日はなんだか優しそうな顔で私に声をかけてくれたのよ。 「お、○○ちゃん。ちょっと手伝ってくれないか?」   おじさんが私を呼び止めて、庭先のテーブルの上に山積みになった栗を指差したの。 「栗の皮むき…?私、やったことないけど…」   「いいよ、教えてやるからさ。簡単だよ。」   そう言って、おじさんはにっこり笑った。その笑顔に、ちょっとドキッとしたのを覚えてる。だって、それまでおじさんの笑顔なんて、ほとんど見たことがなかったんだもの。 テーブルに腰掛けて、私はおじさんの隣に座った。栗の皮むき器なんて使わない、包丁一本でむいていく方法を教えてくれたのよ。最初はぎこちなくて、なかなかうまく剥けなかった。でも、おじさんが優しく手取り足取り教えてくれて…その時の距離感がね、なんだか妙に近く感じたの。 「ほら、こうやって包丁の先を栗の隙間に入れて、少しずつ力を入れるんだ。急がず、焦らずにな。」   「こうかな…?」   「うん、いいぞ。あとは渋皮を取って…よし、上手い上手い。」   おじさんの手が私の手に触れる瞬間、その温もりが伝わってきて、何かが胸の奥でざわめいたの。でも、その時はただ緊張してるだけだと思ってた。 「ねえ、おじさんってさ、昔から栗の皮むき得意だったの?」   「まあな、昔はよく山で拾ってきたもんだ。お前みたいな若い頃に覚えたよ。」   「ふーん。なんか意外。もっと不器用かと思ってた。」 ...

強欲な叔母が1日3回も俺のマツタケを貪る

「これ、あんたが採ったの?」 叔母はそう言って、俺が差し出したマツタケをじっと見つめている。秋の朝、山奥の森で拾ったばかりの、まだ湿った香りが漂う。それを彼女は、まるで宝物のように指先で軽く撫で、鼻先に近づける。 「そうだよ。ちょうど山に行ってみたら、運よく見つけたんだ。」 俺が言うと、叔母は目を細めて微笑んだ。その顔には、どこかしら欲望の色が見え隠れしている。 「まあまあ、あんたもなかなかやるじゃないの。でもね、こんなに立派なのを見つけるなんて、普通じゃないわよ。」 彼女はそう言いながら、ゆっくりとマツタケを口元に運び、ふわりと香りを楽しんでいた。叔母のこの様子を見るのは、もう慣れたものだ。彼女は昔から、この香り豊かなキノコに目がなくて、毎年秋になると必ず俺のところに来る。 「今日はどうするんだ?」と俺が尋ねると、叔母は顔を上げて、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。 「どうするも何も、決まってるでしょう? まずは昼に焼きマツタケ、それから夕方には土瓶蒸し、そして夜は…」 彼女は唇を軽く舐める仕草をして、俺をじっと見つめた。 「夜は、あんたの特製のマツタケご飯で締めくくるのよ。」 俺は思わず苦笑した。毎年のこととはいえ、叔母のこの強欲さには本当に驚かされる。まるで一日中マツタケに溺れたいかのようだ。 「でも、さすがに1日3回は食べ過ぎじゃないか?」 俺がやや心配そうに尋ねると、叔母はすぐさま首を振った。 「そんなことないわ。マツタケは秋の贅沢、年に一度しかないものでしょう? それを惜しんでどうするの。これくらい楽しんだってバチは当たらないわ。」 叔母のその言葉には、どこかしら切実さが含まれていた。そう、彼女にとってマツタケは単なる高級食材じゃない。何かもっと深い意味を持っているのだろう。 「ねえ、昔、私があんたくらいの頃はね、家族みんなでマツタケを食べるのが一番の楽しみだったのよ。おじいちゃんが山で採ってきた新鮮なやつを、家族で囲んで食べる。それが、一年に一度の特別な日だったわ。」 その声には懐かしさが滲んでいる。俺は少し驚いた。叔母が家族の思い出をこんな風に話すなんて、滅多にないことだからだ。普段はもっと、軽口ばかり叩く人なのに。 「でも、いつの間にかみんな忙しくなってね、そんな時間もなくなっちゃった。今じゃ、マツタケを一緒に囲む家族もいなくなってしまった。」 そう言って...

「やり投げ」を「やり逃げ」と読み間違えたパートの人妻を食事に誘って「食い逃げ」した職場の男

「やり投げ? ああ、やり逃げか…って、違うだろ!」   奈美さん、いつもどおりのパート勤務で、あの柔らかな笑顔を浮かべながらそう言った。店内の明かりが彼女の頬をほんのり照らしていた。見とれるぐらい、肌がきれいだなって、毎回思う。けど、この日だけは違う。俺の心の奥に、別の感情が渦巻いていた。 「やり逃げって、どういう意味か知ってる?」と、つい茶化してしまった。彼女は驚いたように目を丸くしてから、笑いながら「いや、そんなの詳しくは知りませんよ!」と応じる。その声が耳に心地よかった。 奈美さんは、子供もいるし、旦那もいる。知ってる。家庭がある、だからこそ――余計に惹かれてしまうんだ。 **――誘ってみよう。** 気づいたら言葉が出ていた。「奈美さん、仕事終わったらご飯行かない?」   最初は驚いていた彼女も、すぐに微笑んで「ええ、いいですよ」と頷いた。それがきっかけだった。 夜の街を抜け、俺たちは小さなイタリアンに入った。店内は薄暗くて、ロウソクがテーブルをほのかに照らす、いかにもカップル向けの場所だ。こんな場所に人妻を連れてくるなんて、俺は何をしてるんだ? そう思いながらも、心のどこかで楽しんでいる自分がいるのがわかった。 「店長、こんなにおしゃれなお店、来たことないです」   奈美さんは少し緊張しているようだった。その表情がまた、俺を刺激する。   「たまにはいいでしょ? こういうの、楽しんでくれたらいいんだけど」   そう言って、俺はワインを勧めた。彼女がグラスを手に取って口に運ぶ姿に、俺の視線は自然と釘付けになる。彼女の唇がグラスに触れるその瞬間、なぜか全身が熱くなる。 ワインが少しずつ減っていくと、話も少しずつ打ち解けてきた。彼女の家庭の話、仕事の愚痴、子供のこと。聞いているうちに、俺の中で抑えきれない欲望が膨らんでいく。   「奈美さんって、本当に優しいよね。いつも家のことも頑張ってるし」   「いやいや、全然。毎日いっぱいいっぱいですよ」   その言葉に、彼女が家庭にどれだけ縛られているのかが、透けて見えた。だからこそ、もっと自由にしてあげたい――そんな感情が湧き上がる。 「もっと自分を大事にしていいん...

義理の息子(娘婿)に餅つきして欲しい「ねぇ、もっと突いて」

「ねぇ、これぐらいでいいかな?」   娘婿の力強い声が聞こえた。私は台所の隅でその姿をじっと見つめながら、少しだけ胸がドキドキしているのを感じた。立派な背中、逞しい腕、そして餅をつくときのあの手の動き…。うっかり、私の心の奥に隠していた欲望が顔を覗かせてしまう。 「うん、もうちょっと…あと数回ついた方がいいかな」   声が震えないように努めて返事をする。今、この空間には私たち二人だけ。娘は出かけている。そう、この瞬間を私は少しずつ待ち望んでいたのかもしれない。娘婿と過ごす静かな時間。彼の手の力強さを見るたびに、心の奥に熱いものが芽生えてしまう自分がいる。 「お義母さん、本当に餅つき好きなんですね。僕が手伝えて嬉しいです」   彼はにっこり笑って、ついた餅を木の臼から取り出し始める。その笑顔…誠実で、温かくて、どこか無邪気さも残っている。それに応える私は、心に少しだけ罪悪感を感じつつも、その瞬間だけは忘れていたかった。 「そうよ、昔は家族でよくやったのよ。でも今はこうして、あなたに手伝ってもらえるなんて、ありがたいわね」   私の声は、自然と優しくなった。そう、私は彼に感謝している。でも同時に…その手が、あの逞しい手が、私を包み込むように感じられたらどうだろうと、ふと考えてしまうのだ。 「お義母さん、ついた餅、もう少し形を整えますね」   彼が優しく言いながら餅を手で押し固める。あの手が餅を触るたびに、私の心の奥にある禁断の感情が膨らんでいく。   「上手ね。あなた、餅つきが得意なの?」   「いや、そんなことはないですけど、コツをつかむと意外と楽しいですよ」   彼は笑いながら答えた。 私は彼の隣に立って、手元をじっと見つめた。彼の手が餅に触れるたびに、私の体温が少しずつ上がっていく。餅が柔らかく、滑らかに変わっていく様子が、私の心の中の欲望と重なっていくようで、何とも言えない気持ちになる。 「ほんとに上手よ。もう一緒にお餅屋さんを開けるんじゃないかしら?」   冗談を言ってみたが、心の奥には別の感情があった。彼の手が私のものに重なったら、どんな感覚なんだろう…。その考えが浮かんで、慌てて頭...

あ、義理の父の愛情を受け入れられない

  ぽつりぽつりと降り始めた雨。玄関に立つ私は、義父の優しい声に少し身構える。最近の私と義父の関係は複雑だからだ。 「ただいまー、リサ」 「あ、ただいま、義父さん。今日も一日お疲れ様でした」 私は義父の優しい眼差しに包まれながら、にっこりと微笑みかける。義父はいつも私を気遣ってくれる。でも、時には義父の愛情が重荷に感じられることもあるのだ。 「夕飯の支度はもう済んでるから、ゆっくり休んでいいよ」 義父は私の手を取り、優しく引っ張っていく。居間に案内されると、私は義父の愛情に甘えるように、ソファーに座り込む。 「義父さん、今日はどんな一日でしたか?」 「ん? ああ、仕事は順調だったよ。でも、リサが少し心配そうな顔をしてるね」 義父は私の表情を気遣うように眉間にしわを寄せる。私は慌てて笑顔を作る。 「いえ、全然大丈夫ですよ。私も楽しい一日を過ごせました」 でも、心の内では義父の愛情に押しつぶされそうになっている。義父はそんな私の気持ちに気づいているのだろうか。 そんな思いがめぐる中、義父が優しく話しかけてくる。 「リサ、最近どうしたの? 私の気持ちが重荷になっているみたいだけど、何か言いたいことはないかい?」 私は義父の優しい眼差しに包まれ、思わず溢れ出る涙を必死に堪えた。 「義父さん、あなたの愛情が嬉しいのですが...でも、時々それが私にとって重荷になってしまうんです」 そう告げると、義父は少し困惑した表情になる。私は必死に言葉を探る。 「私は自分の家庭を築きたいと思っているので...あなたの愛情が私の自立を阻害しているような気がするんです」 義父はしばらく沈黙していたが、やがて優しく語りかけてきた。 「そうか、リサ。私の愛情が重荷になっているのなら、それは私の責任だね。今までは自分の思いだけで接してきたから、リサの気持ちが分からなかった。これからは、リサの気持ちを第一に考えて接していくよ」 義父の言葉に私は胸が熱くなる。義父はこれからも私を支え続けてくれるのだと感じた。 「ありがとう、義父さん。これからも、よろしくお願いします」 私は義父に抱きつき、心の奥底にあった葛藤が少しずつ解消されていくのを感じた。 そして、窓の外では雨が小降りになってきていた。義父の優しさと理解に包まれ、私は安心して自分の人生を歩んでいくことができそうだ。これからは、義父に感謝しなが...

近所のミニスカートのおばちゃんがオレの壺だった

ちょっと聞いてくれよ…信じられないかもしれないけど、近所のおばちゃんがオレの壺だったんだよ。いや、笑わないでくれ!ちゃんと話を聞いてくれって。 名前は、えーと、ユカリさんだったかな?でも、オレの中では「ミニスカのおばちゃん」って呼んでた。年は…たぶん40代後半くらい?見た目は普通の主婦っぽいんだけど、なんか、ミニスカートがトレードマークみたいでさ、いつも短いスカート履いてるんだよ。なんかその姿が妙に印象に残っててさ。 最初に見たのは、うちのアパートの駐車場で、買い物袋を持って歩いてる姿だった。で、その時にチラッと見えたんだよ、あの脚がさ。いやいや、年齢のことは関係ないんだよ。とにかく、スタイルが良くてさ、細い脚が目に入った瞬間「お?」って思っちゃったんだよな。なんかさ、ミニスカートをそんな年齢で履きこなせるって、すごい自信あるんだろうなって思って。 それからさ、オレ、気になって仕方なくて。毎朝、ゴミ捨て場でバッタリ会うのを期待するようになっちゃって。まぁ、普通は会わないんだけど、たまに会うときがあって、なんかさ、オレ、自然と挨拶しちゃうんだよ。「おはようございます」って。で、ユカリさんも「あら、おはよう」ってにこって笑ってくれるわけよ。その笑顔がまた、意外と若々しくてさ。「あぁ、この人、ただのおばちゃんじゃないな」って思ったね。 それだけじゃないんだ。ある日、ゴミ捨て場でバッタリ会ったときにさ、ユカリさんがちょっと困ってる顔してたんだよ。買い物袋を両手に持ってて、「あ、すみません、少しこれ持ってもらえませんか?」って言われてさ、オレ、めっちゃ嬉しかったんだよな。普通のことなんだけど、なんか頼られた感じがしてさ、心臓バクバクだった。持ち上げた瞬間、彼女が「あら、ありがとう、助かったわ」って言うんだよ。それがもう、オレにとっては特別な瞬間だったわけよ。 でさ、その後も何度かすれ違う度に挨拶するようになって、少しずつ会話も増えていったんだよ。「今日は暑いですね」とか、「お仕事大変そうね」とかさ、ほんとに他愛ない話なんだけど、なんか妙に心に残るんだよな。そのたびに、彼女のミニスカート姿がオレの頭から離れなくてさ。 「オレ、こんな年上の人に惹かれてるのか?」って何度も思ったよ。だけど、どうしてもユカリさんの存在が気になるんだ。普通の主婦っぽいけど、そのミニスカートが彼女の個性...

義理の父の愛情を受け止める嫁の葛藤

「ねぇ、どうしたらいいと思う?義理の父が、最近なんだか…違うのよ。もちろん、彼は優しいし、気遣ってくれて、家族として大切にしてくれてる。でも、その…なんだか愛情が、少し違う方向に向かってる気がするの。まさかって思うけど、あれは…特別な感情なのかしら?」 「最初は気のせいだと思ったの。でも、こないだ夕飯の時、いつも以上に私にだけ優しくしてくれて。それが妙に引っかかってね。義理の母が部屋を離れた瞬間、私の手をさりげなく握ってきたの。普通なら、家族同士の何気ないスキンシップって思うじゃない?でも、あの時の彼の目…まるで私を見つめるような、なんか熱っぽい感じだったのよ。」 「その時、私はどう反応すればいいかわからなくて、とっさに手を引っ込めたの。でも、気まずさを悟られたくなかったから、笑顔でごまかした。だって、義理お父さんだよ?家族の一員として私を受け入れてくれた人だもの。感謝してるし、尊敬もしてるんだ。だけど、これっておかしいよね?」 「夫には言えないよ。彼はきっとそんなの信じないし、かえって家庭が壊れるかもしれない。そんなの嫌だし、彼には負担をかけたくない。だけど…私だって、どうしたらいいかわからないの。義理の父の気持ちが本当なのか、私が考えすぎなのか…。でも、あの目…忘れられない。」 「昨日もね、突然『今日は特に綺麗だね』って言ってきたの。夫はその時隣にいたんだけど、私だけに向けられた言葉だってわかるのよ。なんだかもう、家の中での居心地が悪くなってきてる気がする。私が変に意識しちゃってるだけなのか、それとも彼の気持ちがどんどん表に出てきてるのか…。もう、どうしたらいいんだろう。」 「私のこと、どう思ってるんだろう?本当に家族としての愛情だけで、ただの勘違いなら、それはそれでほっとするけど…でも、もしも…もしも彼が本気だったら?私、義理の父を傷つけたくないし、家族を壊すなんて絶対にしたくない。でも、どこかでその線を引かなくちゃ、もっとおかしなことになりそうで…」 「ねぇ、私ってどうすればいいんだろう?このまま気づかないふりをして、平穏を保つべきなのか。それとも、一度しっかり話をしてみるべきなのか…。頭がぐちゃぐちゃで、誰にも言えないから…ごめん、こんな話聞かせて。」 魅力的な人妻

【朗読 小説】不倫が引き起こした恐怖の悲劇「背徳と破滅の逃避行」【短編 恋愛】

これは友達から聞いた話なんだけどさ、ある関西の小さな町に住む中年男女の話ね。タカオとユミコって名前にしておこうか。二人は会社の同僚で、それなりに仲が良かったけど、実はそれ以上の関係に発展しちゃったんだ。 タカオは家庭持ってて、奥さんと子供もいるんだけど、仕事のストレスとかで疲れちゃってて、ユミコといると癒されるって感じだったんだよね。一方、ユミコも彼氏と別れたばっかりで寂しかったから、タカオにどんどん惹かれていったわけ。 二人は秘密のアパートを借りて、毎週そこで会うようになったの。最初は罪悪感とかもあったけど、次第にそれが快感に変わっていったんだって。ある日、タカオはユミコに「もうこのままお前と一緒に逃げよう」って言い出したんだ。ユミコもその気になって、二人は計画を進めていったんだよ。 その夜、ユミコが先にアパートで待ってたんだけど、タカオはなかなか来なかったの。電話も通じなくて、不安になったユミコはタカオの自宅に電話をかけたんだ。すると、タカオの奥さんが電話に出たんだよ。 「タカオは今、警察に捕まってるんです…」 ユミコは何が起こったのか全然わからなくて、次の日、会社でタカオの同僚から話を聞いたんだ。なんでも、タカオは家庭の中でおかしなことをし始めて、妻がそれに気づいて警察に通報したらしいんだ。タカオは何日も家に帰らず、子供に「お父さんはもうすぐいなくなる」とか言い出してたって。 結局、タカオは精神的にかなり追い詰められてて、警察で取り調べを受けたんだけど、その時に彼が言ったことが本当に怖かったんだよ。 「ユミコと逃げる計画を立ててたんです。でも毎晩、誰かが俺の耳元で『逃げられるわけがない』って囁くんです。ユミコと会うたびに、その声がどんどん大きくなって、最後には誰かに首を絞められる感覚がして…もう逃げるなんて無理だと思って…」 聞いた話だと、その後タカオは病院に入院したらしいけど、まだ誰もその声の主が誰なのか、わからないんだ。ユミコもその話を聞いて怖くなって、町から姿を消したってさ。 気をつけてね。欲望に取りつかれると、自分じゃ気づかないうちに闇の中に引きずり込まれちゃうかもしれないから… 魅力的な人妻

【朗読 小説】またここに来てしまったのね…「終わりのない欲望」【短編 恋愛】

夜の闇が深まる中、街は静寂に包まれていた。古びたビルの一室、薄暗い照明が部屋の隅を照らし、寂寥感が漂っていた。ベッドの端に腰掛けている涼子は、窓の外に広がる夜景をじっと見つめていた。煙草の煙がゆっくりと彼女の周りを漂い、空気に重い緊張感が混じっていた。 「またここに来てしまったのね…」涼子がため息混じりに呟いた。 ドアが静かに開き、男が入ってきた。健二だ。彼は無言で部屋に入ると、涼子の隣に腰を下ろした。ふたりの間に流れる静けさは、長い年月を共にしてきた者同士のものだったが、同時にどこか不穏な空気も漂わせていた。 「来るなって言ったのに…」涼子が視線を外したまま、低く呟いた。 「俺だって、こんなことしたくないさ。」健二はソファに身を預け、疲れたように息を吐いた。 涼子は苦笑を浮かべ、煙草を灰皿に押し付けて消した。「嘘ばっかり。私たち、いつもこうね。お互いに終わりにしようって言ってるくせに、結局また戻ってきて…」 「そう簡単には終われないんだよ、俺たちは。」健二の声は低く、感情を押し殺しているようだった。 涼子はその言葉を聞きながら、かすかに頷いた。彼の言うことは正しい。二人は何度も別れようとしたが、互いを引き寄せる欲望に勝つことができなかった。背徳的でありながら、その関係は彼らにとって逃れられないものとなっていた。 「奥さんはどうしてるの?」涼子は健二の顔を見つめ、わざとらしく問いかけた。彼女の声には、冷たい皮肉が混じっていた。 「気づいてないさ。」健二は短く答えたが、その言葉には重い罪悪感が含まれていた。 「本当に?あなたが毎晩遅くまでここにいるのに、何も疑ってない?」涼子は微笑んだが、その笑顔にはどこか悲しみが漂っていた。 「俺がどうにかしてる。それに…今更何を言っても意味がない。」健二は顔を覆うように手を置き、疲れたように頭を振った。 「そうね。何を言っても、結局私たちはここに戻ってくる。」涼子はそう言って立ち上がり、窓際に歩み寄った。彼女の背中は寂しげで、彼女自身もこの関係に疲れ果てているようだった。 「涼子…」健二が呼びかけたが、彼女は振り返らなかった。 「私たち、終わることができないのよ。あなたも、私も、それが分かっている。」涼子は窓の外の景色を見つめながら、静かに言った。「でも、このままじゃ何も変わらない。私たち、お互いを壊しているだけよ。」 健二は沈黙...

背徳の夜…もうダメなの

薄暗い部屋の中、雨音が静かに窓を叩いている。リビングの薄いカーテンがかすかに揺れ、部屋の中に冷たい風が入り込んでいた。美咲は無言のままテーブルに座り、グラスを片手にじっとワインを見つめていた。赤い液体がグラスの中でゆっくりと揺れ、彼女の心を映し出すかのように不安定だった。 ドアが開き、亮介が入ってきた。彼は一瞬、彼女の背中を見て戸惑った表情を浮かべたが、すぐに笑みを取り繕い、ゆっくりと彼女に近づいた。 「こんな夜に呼び出されるとは思わなかったよ、美咲。」亮介は軽く笑いながら、彼女の向かいに座った。 美咲は顔を上げず、静かに口を開いた。「どうして来たの?」 「お前が呼んだからだろう?」彼は少し冗談っぽく答えたが、美咲の冷たい態度に気付いて、すぐに表情を引き締めた。「何かあったのか?」 彼女はゆっくりと顔を上げ、亮介をじっと見つめた。彼女の目には、深い悲しみと葛藤が渦巻いていた。「私たち、こんなこと続けていていいの?」 亮介はその言葉に一瞬息を呑んだが、すぐに気を取り直して答えた。「何が悪いんだ?お互い、大人だろう?」 美咲はグラスをテーブルに置き、彼の目を避けるように視線を外した。「大人だからこそ、これ以上はもう…終わりにしなきゃいけないのよ。」 「終わりにする?」亮介は椅子に深く座り直し、少し苛立った声を出した。「俺たちは何も悪いことをしてるわけじゃないだろ。お前は、俺のことが好きなんだろ?」 美咲は苦笑した。「好きよ。でも、それだけじゃ…もうダメなの。」 「何が問題なんだよ?」亮介は苛立ちを隠せないまま、美咲に詰め寄った。 「問題は…私はまだ夫と別れていないってことよ。」彼女の言葉が部屋に重く響いた。 亮介は一瞬固まった。そして、ため息をついて彼女を見つめた。「お前の旦那とはもう終わってるんだろ?気持ちなんてないじゃないか。」 「そうかもしれない。でも、彼は何も知らない。彼はまだ私を信じてる。それを裏切ってるの、私なのよ。」美咲の声は震えていた。彼女の心には罪悪感が押し寄せ、胸が痛んでいた。 亮介は静かに立ち上がり、彼女の前に歩み寄った。そして、美咲の肩に手を置き、優しく彼女を見つめた。「美咲、俺たちはお互いを求め合ってるんだ。それは間違いじゃない。」 彼女はその手を感じながらも、涙が目に溢れた。「でも、私にはまだ責任がある。夫を傷つけたくない。」 「お前が今幸せ...

消えゆく夫婦の絆「沈黙の愛欲」

薄暗いリビングに響く時計の音。久しぶりの静けさが、夫婦の間に不自然な距離感を生む。テーブルに座る美穂は、無言のままカップの縁を指でなぞっていた。正樹も言葉を探しているが、何も出てこない。互いに目を合わせることなく、空気は重く張り詰めていた。 「最近...してない、どうして?」 美穂がぽつりと切り出す。顔は正樹の方を向いていない。 正樹はため息をつきながら、視線をテレビの方に固定する。 「別に…疲れてるだけだ。仕事が忙しいんだよ」 美穂はその答えに微かに苛立ちを感じたが、声を抑えて続けた。 「疲れているのは、私も同じよ。でも、私たち…なんだかずっと、遠くなっていくような気がするの」 静かな部屋に、二人の間の緊張が漂う。正樹は少し言葉を詰まらせたが、視線を美穂に向けた。彼女の顔に浮かぶ不安と寂しさが、彼の心を締め付ける。 「そう思ってるのは、お前だけじゃないさ…俺だって、感じてるんだよ」 正樹はついに本音を吐き出した。 美穂はその言葉に驚き、ゆっくりと正樹の方を向いた。彼の目に、今まで抑えていた感情が溢れているのを感じた。 「だったら…どうして?」 美穂の声は震えていた。正樹が何か言おうと口を開くが、その瞬間、二人の間にどこか寒々しい沈黙がまた戻ってきた。 その夜、美穂は一人でベッドに横たわっていた。正樹はまだリビングでテレビを見ている。いつからこんな風になってしまったのだろう。思い出せない。ただ、時間と共に二人の間に広がっていく溝が、取り返しのつかないものだということだけは感じていた。 ドアが静かに開く音が聞こえた。正樹が部屋に入ってきたが、ベッドに向かう気配はない。彼の背中は重く、疲れた様子で立ち尽くしていた。 「美穂…お前のことを、ちゃんと考えているよ」 ぽつりと漏れたその言葉に、美穂は少しだけ希望を感じたが、その後に続く言葉はなかった。 二人の間に広がる闇は、今夜もそのままだった。 魅力的な人妻

昭和 人妻物語「農家の嫁の隠された夜の秘密」

静まり返った田舎の夜。窓の外には満天の星が広がっているが、月明かりが差し込む農家の一軒家は、どこか寒々しい空気に包まれている。古びた木製の床が軋む音が、二階から聞こえる足音とともに響く。台所の電気は消えているが、寝室からわずかに漏れる光が家の奥をぼんやりと照らしている。 「今日も遅かったな…どこ行ってた?」 重い息を吐きながら、俊夫は布団の中から絞り出すように言葉を投げかけた。彼の声は低く、疑念に満ちている。 「田んぼの様子を見に行ってただけよ。稲の具合が悪くて、少し様子を見てたの。」 美咲は冷静に答え、静かに部屋に入ってくる。髪は少し乱れ、手には畑の泥がついたままだった。 「田んぼだって…この時間にか?」 俊夫は布団から上半身を起こし、美咲を鋭く見つめる。その目には、言葉にできない怒りと不信が浮かんでいた。 「あなたには分からないわ、稲のことは私が全部やってるんだから。」 美咲はベッドの上に腰を下ろし、上着をゆっくりと脱いだ。その仕草は疲れた農家の嫁というより、どこか緊張感を漂わせている。 「なんだよ、その言い方。俺は何も知らないってか?お前、何か隠してるだろ?」 俊夫はさらに問い詰めるように言い放ち、布団から完全に出て立ち上がった。彼の影が、寝室の薄い照明に映し出され、美咲に覆いかぶさるように伸びる。 「隠してることなんて何もないわよ。ただ、あなたが知らないだけ。」 美咲は冷静を保ちながら、カバンの中から携帯を取り出して机の上に置いた。 「なら、その携帯見せろよ。」 俊夫は怒りを露わにしながら、手を差し出す。その声は抑えきれないほど激しく震えていた。 「携帯?何があるって言うの?」 美咲は微笑みながら携帯を彼に差し出す。挑戦的な態度を見せながらも、心の奥には何かを隠し通そうとする意志がある。 俊夫は携帯を手に取り、急いで画面を操作する。美咲の目はその様子を冷ややかに見つめ、静かに息を吐き出す。 「何も出てこない…本当に何もないのか?」 俊夫は画面を見つめたまま、困惑した様子で呟く。 「言ったでしょ、何もないって。でも、あなたは信じてないんでしょうね。」 美咲は立ち上がり、俊夫の目を見つめる。その瞳には、挑発的な光が宿っている。 「信じてないわけじゃない…ただ、お前が夜中に出かけてるのが怪しいんだよ。」 俊夫は声を荒げ、拳を固く握りしめた。その手は震え、彼の焦燥感...

あうぅ…「団地妻の嗚咽」物語

あうぅ…団地妻の嗚咽 薄暗い団地の一室。壁紙は黄ばみ、家具は古びている。雨が外の階段を打つ音が響き、部屋は湿気を帯びている。静かな空気の中、時計の針が規則的に動く音だけが響いている。台所では、幸子が黙々と皿を洗いながら、時折窓の外に視線を投げかける。背後では、夫・隆司が無言で煙草をふかしながらソファに腰掛けている。 「こんな生活、もう限界よ。」 幸子は皿を拭く手を止め、低く沈んだ声で言った。その背中は小さく震えているが、隆司は彼女を無視するかのようにタバコの煙を吐き出す。 「何が限界だって?お前は家にいるだけだろう。贅沢言うなよ。」 隆司は冷たい目で幸子を睨み、軽く鼻で笑う。彼の態度はいつもと同じ、感情を遮断するかのような無関心。 「家にいるだけ?待つしかないこの気持ちが、あなたにわかるはずないわ。」 幸子は震える声で振り返り、目に涙を浮かべながら彼に問いかける。 「お前は何を期待してるんだよ。俺だって、働いてるんだ。お前みたいに好きなことしてられないんだよ。」 隆司は不機嫌そうにタバコを灰皿に押しつけ、立ち上がる。彼の大きな体が幸子に覆いかぶさるように迫る。 「好きなこと?私は、あなたのために…この家のために、すべてを捨ててきたのに!」 幸子は感情を押さえきれず、一歩前に踏み出し、強く彼に訴えかけた。その瞳には、長年の不満と失望が滲んでいる。 「捨てた?誰も頼んでない。勝手に犠牲者ぶるのはやめろよ。」 隆司の言葉は刺さるように冷たく、幸子の胸に鋭く突き刺さった。彼は背を向け、部屋の隅にある冷蔵庫を開けてビールを取り出す。 「そんなこと言うのね…。もう、あなたと話すことなんてない。」 幸子は震える手で涙を拭い、背中を向けた。嗚咽が漏れそうになるのを必死で堪えるが、肩が揺れているのが見える。 「じゃあ、出て行けばいいだろう。俺は何も変わらないし、変わるつもりもない。」 隆司はビールを開けて一気に飲み干し、乱暴に缶をテーブルに叩きつけた。その音が二人の間に広がる冷たさを増幅させる。 「出て行く?それがあなたの答えなのね。」 幸子はゆっくりと振り返り、その言葉に固い決意を込めた。涙に濡れた目は、もう隆司を見つめることなく、何かを断ち切るように遠くを見ている。 「そうだよ。お前も楽になるだろ。」 隆司は背中を向けたまま、無感情に答える。 「そうかもしれない…でも、私は楽にな...